日立とJR東、「Ringo Pass」の実証実験 次世代Suicaで移動の効率化狙う

2018年9月5日 16:19

印刷

「Ringo Pass」アプリの画面イメージ(写真:チームラボの発表資料より)

「Ringo Pass」アプリの画面イメージ(写真:チームラボの発表資料より)[写真拡大]

 日立は4日、JR東日本とともに、身近な買い物客や旅行者の交通の利便性を向上する「Ringo Pass」サービスの実証実験を開始すると発表した。

【こちらも】JR東、DeNAと協同のレンタカー無人貸出サービス 実証実験を拡大へ

 鉄道・タクシー・シェアサイクルなどの移動手段の利用をワンストップ化。移動の利便性を向上には、スマホアプリ「Ringo Pass」を使用する。モニター企業数社の従業員が「Ringo Pass」サービスを利用し、タクシーとシェアサイクルをスムーズに利用できるワンストップサービスの利便性を検証する。

 JR東日本は2001年、タッチ&ゴーをキャッチフレーズにSuicaのサービスを開始。Suicaは、非接触型ICカードを用いたプリペイドカード式のシステムだ。Suica利用者は、自動券売機で切符を購入する手間から解放される一方、ワンタッチ式のSuicaは改札での混雑を緩和した。定期券区間外の精算の瞬時処理も相まったこの利便性に加えて、他の交通機関との相互乗り入れや、駅構内のキオスクや自販機でも利用が可能になるなど、利用客は瞬時に増加。また、クレジットカードと抱き合わせで、Suicaへの自動チャージ機能も加わる。結果として、2017年度のスイカ発行枚数は、6,398万枚にも及ぶ。

 今回の発表は、鉄道やバスでのSuica利用に加えて、タクシーやシェアサイクルを組み込む構想だ。JR東日本は「Ride and Go」を略した「Ringo Pass」をキャッチフレーズに、移動の利便性を更に高める。スマホアプリを利用したタクシー配車サービスやシェアサイクルでの顧客獲得競争が激化する中で、各種移動手段を統合する。スマホアプリ「Ringo Pass」サービスを日立が開発。次世代Suicaの姿をあぶりだす実証実験を開始する。

 今回の発表は、新たに台頭したスマホでのタクシー配車サービスやシェアサイクルサービスを、既存のSuicaを用いたサービスに組み込む狙いであろうか。タクシー配車サービスはクレジット決済、シェアサイクルはSuicaでの決済だ。クレジットカード付のSuicaに加えて、スマホ内にSuicaやクレジットカード情報を取り入れた利用者がいる現在、実証実験は利便性に注力するのであろう。配車サービスやシェアサイクルでの利用形態が定まる前に、利便性の程度と課題を把握することは重要である。

●実証実験の概要

 ドコモ・バイクシェアおよび国際自動車の協力のもと、モニター企業約10社の従業員約200名が参加。「Ringo Pass」サービスの利便性を検証する。

 シェアサイクルの実施場所は、東京都内9区だ。サイクルポート数は約470カ所で、8月30日より実証試験を開始した。タクシーの実施場所は、東京都内23区、武蔵野市、三鷹市で、タクシー台数は約3,600台に及ぶ。実証試験は11月に開始予定だ。

 日立はJR東日本とともに、コンソーシアム形式により、その他の交通事業者との提携を拡大する計画のようだ。利用者があらゆるモビリティサービスを簡便・手軽に利用できるモビリティ・リンケージ・プラットフォーム構築に向けた第一歩が始まる。(記事:小池豊・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事