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ファンケルの成長は「創業者」「無添加化粧品」「EC」のトライアングル
ファンケルの表看板は「無添加化粧品」。創業者で元そして現CEOの池森賢二氏の強い意志で生まれ、世に送り出された。1970年代、化粧品被害(黒皮症)が社会問題化した。原因は防腐剤。当時の厚生省は皮膚に害を及ぼしそうな成分を分析・指定し、化粧品に含有成分の表示を義務付けた。池森氏は「指定成分が一切入っていない化粧品」の開発と取り組んだ。結果、無添加化粧品が登壇した。現在は機能性食品「カロリミット」「えんきん」を含む栄養補助食品が一方の収益柱として伸びているが、主役はなんといっても「無添加化粧品」。
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そしてファンケルのいま一つの顔は、ネット通販。前3月期も中軸部門:化粧品セクターで売上高の42%を占めている。ネット通販に注力してきた背景を広報担当者は「無添加ゆえに傷みやすい。定量を使い終わったらすぐにリピーターの手元に届くことが肝要。それにはネット通販が最適」とした。無論、無添加化粧品だけで今日のファンケルが成り立っていたかは疑問。「これこそ売れ筋」と見て取れば、ライバルが続出してくる。前記したように「栄養補助食品」「機能性食品」が育ってきたのも「一つの事業は永遠ではない」という、池森氏の慧眼に起因する。
勿論ファンケルも創業以来、順風満帆であり続けたわけではない。10年代入口には低空飛行に陥った。池森氏が経営陣に復帰し「赤字部門改善」「将来に向けての様々な投資」「構造改革」を断行。15年度を初年度とする第1次中計では「収益V字回復」に導いた。
そしていま20年度に至る「中計」が始まっている。こんな数値目標が掲げられている。「売上高:1260億円:17年度比17%強増」「営業利益:126億円:同64%弱増」「ROE:10%:同2ポイント上昇」。17年度(18年3月期)の計画数字に対し広報担当者に「営業利益率が低いのではないか」と問うたことがある。「売り上げの伸びに利益はついてくるもの。まず売り上げをというのが池森の考え方」という答えが返ってきた。いま、進行中の売上高営業利益率目標は「10%」に到達。が、広報担当者はこう言った。「今期計画は5%の増収(1145億円)、12.5%増の営業利益(95億円)、6.6%の最終増益(66億円)。過去最高の売上高予想」。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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