東日本大震災の被災地で人流データ分析の実証実験、NTTドコモなど

2018年8月11日 11:24

印刷

 NTTドコモ(東京都千代田区)、かまいしDMC(岩手県釜石市)は、19日に開催される「釜石鵜住居復興スタジアム」のオープニングイベントに合わせて、人流データ実証分析を実施すると発表した。

【こちらも】地下街の空調をAIが制御しCO2半減へ、神戸で開発始まる NTTが技術協力

 ドコモが提供する高精度かつ省電力のジオフェンシング技術を用い、スタジアムや周辺の観光スポットなどへの出入りを検知する。ジオフェンシングとは、仮想的な領域(フェンス)を人や物が越えた際に、何らかの働きかけをする位置情報サービスをいう。例えば、子供が安全な地域の外に出たときに保護者に通知するサービスなどがある。今回は特定のスポットへの流入流出経路や滞在時間、スポット間の相関について個人を特定できない統計情報として分析する。

 ヴァル研究所(東京都杉並区)が提供する乗り換え案内アプリ「駅すぱあと」利用者のうち、位置情報取得を許諾した人を対象に人流データを取得し分析。分析結果は今後のイベント開催時における近隣市町村との効果的な連携や、イベントとセットになる観光資源の把握、災害時の避難経路の検討などに活用される。

 ドコモは、分析データをもとに、東北沿岸部への観光促進や防災分野の施策検討に取り組んでいく。かまいしDMCは釜石市の協力のもと、今後のイベント開催時に生ずる交通渋滞の緩和策などを検討する。

 釜石市鵜住居地区は東日本大震災で大きな被害を受けている。観光客の誘引など、今後の施策検討に有効となる今回の取り組みが、同地区の復興を後押しするのではないだろうか。

 データ収集期間は8月15日~30日(予定)。イベント会場となる「釜石鵜住居復興スタジアム」や交通拠点、県内の観光地などを検知対象スポットとして設定。イベント当日には、ラグビー「釜石シーウェイブスRFC × ヤマハ発動機ジュビロ」の試合などが行われる。(記事:西舘妙子・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事