火星の地中に湖が存在する可能性 NASAが発表

2018年7月27日 21:41

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マーズ・オービターカメラ(MOC)が2003年5月12日に撮影した火星の写真(Credits: NASA/JPL/Malin Space Science Systems)

マーズ・オービターカメラ(MOC)が2003年5月12日に撮影した火星の写真(Credits: NASA/JPL/Malin Space Science Systems)[写真拡大]

アメリカ航空宇宙局(NASA)は26日、火星の極冠部分にある氷の下に、湖が存在する可能性があることを公表した。欧州宇宙機関が打ち上げた宇宙船「マーズ・エクスプレス」に搭載された「マリシス(MARSIS)」からの観測に基づいて、今回明らかになった。

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 地球と同じく火星にも、高緯度にある極冠は氷で覆われている。今回湖が存在する可能性が高いと判明したのは、火星の南側の極冠部分だ。マリシスにより、幅約20キロメートルに広がる海水からなる湖が地中に存在する可能性があることが明らかになった。

 2012年から3年間にわたり、マーズ・エクスプレスは火星の南側の極冠部分にてレーダーを使って探索をおこなってきた。火星の南側の極冠部分に位置する「氷帽」と呼ばれる小さな氷河から約1.5キロメートルの地中から、レーダーにより「輝点」が検出された。マリシスが検出した輝点は、地球の南極やグリーンランド近くに見られる湖のものと類似している。このことから、火星の氷帽の下にも湖が存在する可能性があると考えられる。

 マリシスの観測結果を分析したイタリア国立宇宙物理学研究所のロベルト・オルゼイ教授は、「今回検出したものは、火星で発見された最初のまとまった水だ。このことから、火星上に生命が生息しうるものだと考えられる」と話す。

 オルゼイ教授によると、氷帽の下には約14度のまとまった水が埋まっているということだ。「生命が生息するには、喜ばしい環境ではないだろう」とオルゼイ教授は語る。

 今回の発見から、直ちにまとまった液体の水であることが明らかになったわけではなく、さらなる検証が必要である。湖の下に、かつて生命が存在したことの証拠はまだ存在しない。「生命が存在したことを証明するためには、氷帽の下をロボットで探索する必要があるだろう」とオルゼイ教授は述べる。

 火星上にまとまった水の塊が存在するかどうかは、長年にわたり議論されてきた。今回の結果は、これらの議論への解決法を提示するものだ。

 研究の詳細は、サイエンス誌に25日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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