関連記事
世界初、日本製の人工流れ星が2020年春に実験へ 瀬戸内地方で観測可能
■390キロメートル上空で小型衛星から特殊な金属の玉を放出
人工流れ星を宇宙から降らせることを計画している日本の宇宙スタートアップ企業、ALE(エール/東京都港区)は、2018年7月18日に「2020年春に広島・瀬戸内地方で初の実験」をすると発表した。小型衛星を打ち上げて、高度390キロメートルから、直径約1センチメートルの特殊な金属の玉を放出。高温になった金属の玉が5から10秒位光り、それが流れ星のように瀬戸内地方を中心に200キロ圏内で、最長で約1分間ほど見えるという。
金属の玉を積んだ衛星は、2019年3月末に鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられる予定の、日本製小型ロケット「イプシロン4号機」に搭載される。衛星は縦横60センチメートル、高さ8センチメートルで、 重さは約68キログラム。衛星はまず500キロメートル上空まで打ち上げられ、流星源を放出する390キロメートルまで1年ほどかけて徐々に降下させる。放出された金属の玉は大気圏に突入する際に燃え尽きる光で流れ星を再現する。金属の玉は空中で燃え尽き、地上に落下することはないという。
■野外コンサートでの演出などに期待が高まる人工流れ星
広島・瀬戸内海エリアで人工流れ星が見えるようにするために、オーストラリア上空で金属の玉を放出する。今回は15から20個を放出する予定だ。玉は上空約7,000キロメートルで燃え尽きる。
放出装置には400個の玉を積み込める。衛星の運用期間は約2年を予定しており、さまざまな人工流れ星事業を展開する予定になっている。今回の実証実験が成功すれば、たとえば野外コンサートなどで流れ星が無数に流れたり、オリンピックの開会式などでの演出が現実みを帯びてくる。
■人工流れ星はさまざまな宇宙科学の解明にも期待
そのほかにも、人工流れ星は流れ星のメカニズムや成層圏の謎、人工衛星などの人工物の成層圏での安全な廃棄予測など、未解明の宇宙科学にも貢献することが期待されている。
ALEは世界初の人工流れ星を事業化する目的で2011年9月に創立されたベンチャー企業。日本航空やファミリーマートなどがオフィシャルスポンサーとなっている。2019年3月の1号機に続いて、2019年夏には海外の民間ロケットで2号機を打ち上げる予定だ。(記事:norijun・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード