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ISSへの民間有人飛行へ近づく スペースXファルコン9打ち上げ・回収、また成功
ファルコン9ブロック5の打ち上げ(C)SpaceX[写真拡大]
●打ち上げ9分後に第1弾ロケットがドローン船に無事着陸
米国の民間宇宙輸送会社、スペースX社のロケット、ファルコン9が7月22日に打ち上げられた。今回の打ち上げでは、カナダの通信会社テルサットの通信衛星を軌道に乗せることに成功している。
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ファルコン9は2010年から打ち上げられているロケットで、全体で50回以上、2018年はすでに10回打ち上げられている。今回ケープカナベラル基地から打ち上げられたのは、ファルコン9ブロック5といい、ファルコン9の最終形といわれている。今回で2回目の打ち上げだ。
今回は打ち上げから9分後に第1段ロケットが大西洋上のドローン船に着陸した。ドローン船とは海上に浮かぶ無人船で、ものすごスピードで降下してくるロケットの着水位置まで移動し、軟着陸させる基地の役割を果たしている。着陸後無傷で回収されたロケットは、エンジンの燃焼試験を10回程度行って、次の打ち上げに使用するという。
●宇宙旅行へ近づくロケットの再利用
第1段ロケットを回収し、再利用するメリットは、ロケット製作コストの大幅な低減だ。スペースXではドローン船への着陸実験を2013年頃から繰り返し、2016年4月8日に世界で初めて成功させた。ロケットは1基の製作費が約70~80億円かかるといわれている。しかし、回収してそのまま使用できれば、計算上は燃料を入れさえすれば発射できる状態になる。それを複数回使用できれば、コストは限りなく低減できる。ドローン船への着陸・回収の成功は、まさしく「宇宙へとまた一歩近づいた」(スペースX社創業者イーロン・マスク氏)瞬間だった。
●ファルコン9ブロック5はISSへの有人飛行が目標
今回打ち上げられたファルコン9ブロック5は回収されたロケットではなく、初めて使用されたものだ。ブロック5は少なくとも10回の飛行に耐えられるように設計されており、「1年以内には24時間以内に2回の飛行を可能にしたい」(マスク氏)という。
当面は国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送や人工衛星の打ち上げが主任務。既にISSへの有人飛行もアメリカ航空宇宙局(NASA)へ許可申請している。2019年度中の月旅行や火星への試験飛行など、さまざまな準備が整いつつあるスペースX社だけに、今後の展開には目が離せない。(記事:norijun・記事一覧を見る)
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