「e-4WD」の必要性(1) 日産・e-POWER、トヨタ・E-Four、ホンダ・NSXと機械式スバル・4WD、スズキ・ジムニー

2018年7月16日 17:16

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スズキ・ジムニー XC

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■機械式4WD(4輪駆動)

 スバル・4WD、スズキ・ジムニー4WDなどの機械式4WDは、これまで安定した走行を求める人の要望に応えてきた。特に、雪道などスリップしやすい路面の走行では絶対的強みを発揮してきた。が、機械式4WDでは燃費が落ちてしまうことが避けられなかった。車両重量の増加は当然として、さらに駆動系の摩擦増大による抵抗が大きいことが災いしてきたのだ。

 しかし、4輪駆動による路面スリップの少なさは、自動車レースでも有利に働いた。日産・GT-Rの機械式パートタイム4WDだ。基本的にFRで後輪を駆動しているが、スリップを感知すると前輪に駆動力を配分していくことで、コーナリング中のロスを最小限に抑えて、コーナリングスピードや立ち上がりの速さを確保しているものだ。

 そのように大雑把にしか出来ない機械式のコントロールから、最近では電子的に繊細なコントロールを可能として、駆動力の確保や操縦性の確保など、かなりの進歩を見せてきた。

 その中で、機械式4WD機構を小型実用車に積むことは、重量の不利だけでなく、室内スペースが狭くなるなど、スズキ・ジムニー4WDに見られるがごとくマイナス面が多かった。

 スズキ・ジムニー4WDは205mmの最低地上高を小型ラフロードカー並みにとって、全長3,395mm 全幅1,475mm 全高1,725mm 、室内寸法 長さ1,795mm 幅1,300mm 高さ1,200mmときわめて小さなボディーとなっている。フロントトレッド1,265mm リヤトレッド1,275mm ホイールベース2,250mm となっており、懸架方式を前後とも3リンクリジッドアクスル式コイルスプリングとするなど、ラフロード走破性を上げるために努力している。

 ジムニーは「ラダーフレーム」構造で、ボディー全体の強度を上げるには重量がかさむことが考えられる。実際、ジムニーの車両重量は1tを超える。スズキ・ハスラーは同じようなサイズでありながら800kgであり、このハンディーは大きいだろう。燃費では100kgにつき1km/L変化すると言われるぐらいで、機械式4WDの摩擦抵抗を同時に受けるので、きわめて重い課題となる。

 クロスオーバーSUV、セダンなどで機械式4WDはハンディーが大きいため、十分なラフロード走破性能確保は、そこそことしているのが現状だ。

 そこへEV、HEVなど電動車の登場があり、走破能力向上のために大きな余裕が生まれることとなった。

 次は、モーター駆動での4WD(e-4WD)の可能性を見てみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは:「e-4WD」の必要性(2) EV時代の4WDは「イン・ホイール・モーター」

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