18年春ドラマトップクラスのクオリティか!?「あなたには帰る家がある」第11話レビュー

2018年6月23日 20:54

印刷

主要人物はどの人物も魅力的だったが、やはりMVPは陰の部分だけでなく女性っぽさをコミカルに演じた木村多江だろう(c)TBS

主要人物はどの人物も魅力的だったが、やはりMVPは陰の部分だけでなく女性っぽさをコミカルに演じた木村多江だろう(c)TBS[写真拡大]

■後味のいい「不倫劇」を描き切った「あな家」が終了!

 TBS系列のドラマ「あなたには帰る家がある」の最終回である第11話が6月22日に放送された。10話ラストでは意外なシーンで視聴者の度肝を抜いた形となったが、最終回では昨今の「不倫ドラマ」とは一味違ったエンタメ的ラストを見せてくれた。

【前回は】衝撃の事実とユースケの熱演から目が離せない!「あなたには帰る家がある」第10話レビュー

■真弓と綾子がついに一騎打ち!

 太郎(ユースケ・サンタマリア)と新しい人生を歩むと言い出した真弓(中谷美紀)。しかし、まだ彼女のことを諦めきれない秀明(玉木宏)は必至に引き留めようとするも、すでに太郎も彼と不倫した元妻の綾子(木村多江)と新しい人生を歩んでもらうつもりだったため、聞く耳を持たなかった。

 まるで蚊帳の外状態である秀明を余所に、真弓は一気に綾子へ詰め寄って「はやく離婚届を出しましょうよ」とけしかける。しかし、ここにきて綾子の様子が変わり始める。ついに流れを引き寄せたと考える真弓は、そのままお互いの夫を交換することを提案したのだった。

 だが、これは真弓の作戦だった。どうしても綾子から謝罪の言葉を聞きたい真弓は、あえて太郎に好意的な姿を見せたのだった。真弓自体は太郎と人生をやり直すつもりはなかったのだが、当の太郎は真弓にぞっこん。早速作戦に穴が見える一方、綾子もすでに秀明に対する愛情は失っていた。

 それでも互いに折れたくない2人は、水面下でバトルを続けることになる。真弓は思い切って太郎とデートをすることを決め、その作戦に綾子は引っかかってしまう。ついに綾子を叩きのめしたと思う真弓だったが、太郎はそのデート中に捨てた手帳を見ることで気持ちが変わってしまう。

■本音をぶちまける夫婦たち

 真弓と綾子がバトルを続ける中、偽りの生活に疲れてしまった秀明は「もうこんな生活は止めよう」と提案する。それでも止めようとしない綾子だったが、そこに太郎と真弓が現れる。真弓は綾子に手帳を見せると、そこには茄子田家の新築間取りが数ページにわたって書かれていた。太郎の本心を伝えるも、綾子は意固地になってその場から逃げてしまう。

 綾子がエレベーターに逃げ込んだのだが、真弓と秀明、そして太郎もそこに入る。すると、突然エレベーターが故障してしまい、最悪の場合はそこで死んでしまうかもしれない状況となる。そこで4人は死ぬ前に本音をぶつけることになるも、4者4様の形となる。しかし、綾子への悪口がでた時、太郎はついに心の奥底に隠していた本音をさらすことになるー。

 佐藤家と茄子田家の出会いからはじまった妙なバトルは、ついに決着を迎えることになった。現在の主流ともいえる「ドロドロ不倫」とはまったくテイストが違い、ラストはお互いの家族がそれぞれの「答え」を見つけることで新しいスタートを切ることになる。これほど「不倫」を喜劇かつエンタメに仕上げた作品は類を見ず、その上に役者の演技もあってかなり見ごたえのある物語となっていた。

 また、ラストでは佐藤家の娘である麗奈(桜田ひより)と茄子田家の息子である慎吾(萩原利久)による、ブラックや皮肉とも取れる「オチ」付きでドラマに幕を閉じた。最後まで計算されたこの物語を、ぜひ一度は御覧いただきたい。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事