恐竜絶滅後、数年で生命は復活していた 東邦大などが証拠を発見

2018年5月31日 11:55

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隕石の衝突(画像はイメージです)。

隕石の衝突(画像はイメージです)。[写真拡大]

 白亜期末すなわち約6,600万年前に起こった、恐竜を含めた生命の大量絶滅。その際に出来たと目されるチクシュルーブ・クレーターを調査したところ、衝突後わずか2~3年という期間のうちに、その爆心地においても生物が復活していたという事実が突き止められた。

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 共同研究に名を連ねているのは、東邦大学理学部の山口耕生准教授、東北大学災害科学国際研究所の後藤和久准教授、海洋研究開発機構高知コア研究所の富岡尚敬主任技術研究員、千葉工業大学次世代海洋資源研究センターの佐藤峰南上席研究員、米テキサス大学オースティン校のクリス・ロウリー研究員ら。

 チクシュルーブ・クレーターはメキシコ・ユカタン半島の北部にあり、その中心点は海中にある。なおここでは余談となるが、隕石衝突が大絶滅のトリガーとなるのは海岸線沿いなど限られたポイントに隕石が激突したときのみであるとする仮説もある。

 さて、白亜期末に地球に激突した隕石は、直径10キロメートルほどの小天体だったと推測されている。絶滅したのは恐竜だけではなく、当時の生物の約76%にのぼる大絶滅が起こったという。

 従来の仮説では、衝突地点周辺では、生命相の復活にはおよそ30万年ほどの時間がかかったであろうと目されていた。しかし今回、ユカタン半島沖海底で採掘された全長800メートルの柱状の試料を調べたところ、クレーター内において、衝突後2~3年以内という想定外の早さで生物が復活し、そして3万年以内には多様な生態系が蘇るに至っていた事が判明した。

 この事実は重大な示唆をもたらす。つまり、天体衝突は大量絶滅を引き起こすが、その復活を長期に渡って妨げる性質は持っていない、と言う推測がたてられるのである。

 なお、研究の詳細は、英国の科学雑誌Natureにおいて発表される。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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