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越えなければならない壁を乗り越えた乃木坂46の強さとは?
『私たちには越えなければならない目標がありまっす。それはAKB48さんです』
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2012年、AKBのリクエストアワードのオープニングにゲスト出演し、こう言って涙を流した生駒里奈。その最後のシングルで、売り上げで初めてAKBを越えた乃木坂46。
新曲『シンクロシニティ』は初週売り上げで111万6,000枚以上(オリコン調べ)。AKBの新曲『ジャーバージャ』を、ほんの少しうわまった。
このこと自体は、一つの区切りとして捉えればいいことに過ぎないが、ブランドマーケティングを考える上で、姉妹グループを合わせれば200人近いメンバーを抱える巨大勢力に肩を並べるところまで来ることができたのかを分析する必要があると思われる。
また、地下アイドルを含めれば3,000人近くいるといわれているアイドル業界そのもののことも考えてみるべきだろう。
今年に入ってからだけでも、およそ20近い大小のアイドルグループが解散、活動停止になり、また100人近い少女たちが引退、活動休止になっている。
中には、先見の明のある優れたプロデューサーもいるのだろうが、犯罪と紙一重の危ない人間がアイドルビジネスに群がってきているのも事実だ。今後のアイドル業界は混とんとして、どうなるかなんてとても正確な予測はできないのだが、記者自身は巨大グループと泡沫グループの2極化が進み、全体としては縮小傾向になると考えている。
というのも、「アイドル」というコンテンツに魅力を感じる層が、かなり減っていて、アイドルになりたいという人も、プロデュースしたいという人も減少傾向にあるのが大きい。
かつて、ファミコン全盛期には、多くのゲームメーカー(ソフトハウス)が乱立した。
中には社員4~5名でヒットゲームを生み出していた会社もあったが、その後ハードが進化し、莫大な制作費、広告費をかけないと、そもそもゲームが作れない時代になると、ほとんどの弱小ゲームメーカーは撤退、あるいは吸収され、消えて行かざるを得なかった。
アイドルも同じ道をたどると思うのは、アイドルを成功させるのは、運営の手腕、さらには金銭的余裕が必要不可欠であることが、乃木坂46によって証明されてしまったからである。
乃木坂の売れた要因は、結成当時から、非常に丁寧な育て方をしてきたことが第一にあがるだろう。
歌やダンスはもちろんだが、例えば礼儀であるとか、SNSの使い方を含めた立ち振る舞いとか、他人への接し方などの、いわば躾の部分で、これほど評判の良いアイドルを他には聞いたことがない。また、ファーストシングルから、メンバー全員の個人映像を作るなど、一人一人をきめ細かくサポートしている。
たとえ選抜に選ばれなかったアンダーであろうとも、ラジオ、雑誌、ネットなどの媒体で露出のチャンスを与え、腐らせないようにしているのは、非常に気配りが行き届いているといえるだろう。
さらに、2期生、3期生の募集に関しては、現役のメンバーを講師にしたセミナーを行い、事前に覚悟を言い含めているあたり、ある意味ビジネスライクだが、効率がいい。
そして、先日、卒業する生駒里奈が番組内で「成長過程を見せるアイドルから本物になりたいという関心が出てきた」という趣旨の発言をしていることから、恐らくほとんどのメンバーは、今の「乃木坂」という場所が「本物」になるためのゆりかごであることを自覚しているのがすごい。
このコンセプトは、元々AKBが発足当初掲げていたものなのだが、現状は「AKBに入ることが目標」というメンバーが増えてしまい、有耶無耶になってしまった部分である。その問題を乃木坂は卒業生へのフォローで証明してみせている。
例えば、未成年飲酒ということで、卒業ではなく、契約満了による脱退という形を取った大和里菜に対して、その後CDデビューをさせているし、畠中清羅が舞台をやれば、責任者である今野氏が観劇に来るなど、良好な関係を維持している。
そのため、芸能界を引退したメンバー以外の卒業生は、現在もなんらかの活動を続けており、AV出演をしたり、暴露本を出したり、古巣を悪く言うメンバーが一人もいないどころか、大きなライブには顔を見せている。
ただ、こうなると、そこまでのフォローが出来ず、メンバー本人の自覚に任せるしかないアイドルグループは、非常にプロデュースが難しくなる。運営が信用できない、将来が不安だ、という状態で続けていれば、グループ内の暴露話で注目を浴びたり、いきなり結婚宣言をして、グループ内外を大混乱に陥れても、時の人になって個人活動をするほうがマシだと考えるメンバーがいても責められないだろう。
しかし、そこまできめ細やかなマネージメントができるグループは多くないわけで、おそらく今後、地下アイドルはさらに減少するだろうし、大手は組織再編を求められる時がくる可能性が高いと予測できる。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)
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