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幼児が社会の中で自身を意識するのは何才か 米ペンシルバニア大の研究
●5才児も周りの評判が気になる
アメリカのペンシルバニア大学の研究者が発表したところによると、子供たちは5才にして社会における自身の評判の有用性を自覚していることがわかった。5才児はすでに、他者に良い印象を与えることの重要性を理解し、所属する社会において印象を良くするためにさまざまなストラテジーを発揮するという。
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子供の知的行動の最新研究として注目されたこの記事は、科学雑誌「Trends in Cognitive Sciences」に掲載されている。
●道徳性、知性、優位性を誇示する
心理学者でペンシルバニア大学の研究者Ike M. Silver氏とシカゴ大学のAlex Shaw氏によれば、子供たちは5才になるとすでに周りの評判を気にするようになるという。これまでの研究では、子供がこうした意識を持つのは9才前後といわれてきた。
人間が、自分が属す社会での評判や印象をコントロールするという現象については、これまでも数々の研究論文が存在する。今回、2人の心理学者が注目したのは、これまで研究が進んでいなかった幼児のこの分野における能力である。
結果、幼児も大人と同様に、「道徳性」「知性」「優位性」を誇示する能力を、5才から発揮していることがわかったのである。
●高いスキルを要する「周りに好印象を与える」という行為
自身の印象を良くするという行為には、さまざまな行動が矛盾しないよう高いスキルが要求されることになる。たとえば、周りに「優位性」を誇示すれば、「道徳性」が発揮できなくなる。こうした矛盾を起こさないためには、柔軟な対応が必要になる。子供たちは、5才にしてこの対応が可能であると2人の研究者は主張している。
たとえば、将来的に自分に必要だと思われる人物の視線を感じていると、子供たちは非常に寛大に振る舞う。ところがそうした人物が周りにいないときは、年相応に自己的な行動を取るといった具合である。
●すでに獲得した好印象を持続する努力
それだけではない。子供たちは、すでに周りから得ている肯定的な印象を維持する努力もしている。
実験によると、すでに友人たちのあいだで「よい子」の評判を得ている学齢前の子供は、さまざまな行いの中でその評判が覆されるような事象が起こっても、好印象を維持し続ける傾向があるという。周りの子供たちも、「よい子」を紛糾に巻き込まない様子が見えた。
逆に、そのような「よい子」の評判がない子供には、友人間のもめ事にも容易に巻き込まれていくという結果が出ている。
また、子供たちは社会における自分の優位性を得るために、友人たちの肯定的なフィードバックを誇示する傾向もあるという。つまり、5才児は立派に「社会人」として行動していることになる。
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