50年の時を経て『どろろ』が再アニメ化!作品の表現に心配の声も?

2018年3月21日 20:53

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 手塚治虫の怪奇時代劇漫画の傑作『どろろ』が“再アニメ化”されることが19日に発表された。当時のアニメは白黒での放映だったが、本作は発表と同時にカラー映像でのディザーPVが公開されている。

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 アニメ製作は『ユーリ!!!on ICE』や『この世界の片隅に』などでも知られるMAPPAと、数々の手塚作品を手がけてきた手塚プロダクションとの共同制作であり、企画プロダクション「ツインエンジン」が新たに仕掛けるTVアニメのひとつだ。

 また再アニメ化に多くのファンは喜ぶも、作品が描かれた50年前と今とでは放送倫理も大きく変わっているため、「作品の世界感が大丈夫なのか?」と心配する声も見かけられている。

■50年もの時を超えても色褪せない名作『どろろ』

 3月19日、手塚治虫の名作『どろろ』の再アニメ化が発表された。50年前の1969年に『どろろ』(※アニメでは途中から『どろろと百鬼丸』にタイトル変更)はアニメ化されており、当時は「白黒アニメ」での放映だった。すでにディザーPVならびに番組の公式サイトやtwitterも公開されている。

 今回の再アニメ化に関しては、「ノイタミナ」で編集長だった山本幸治氏立ち上げた企画プロダクション「ツインエンジン」が、新たに仕掛けるTVアニメ化作品として発表された。実は19日には『どろろ』以外にも、野﨑まどかの『バビロン』、三宅乱丈の『ペット』、幸村誠の『ヴィランド・サーガ』、そして14日に先んじてアニメ化が告知された『からくりサーカス』の5作品をツインエンジンが手がけると発表されている。

 放送局などの詳細は今後随時発表されるが、Amazonプライム・ビデオにて日本や海外へと独占配信が決定。また3月24日(土)・25日(日)に東京ビッグサイトで催される「AnimeJapan2018」にはツインエンジンも参加し、『どろろ』以外に各作品についての情報も聞けるようだ。

■作品の世界感と現在の放送倫理

 物語は室町時代。ある武将が己の野望を叶える代償として、まもなく生まれるであろう息子の身体を48体もの魔物へと捧げてしまう。誕生した赤ん坊は身体の48箇所をも欠損した状態で生まれ、川へと流され捨てられてしまう。拾われた赤ん坊は医者・寿梅に拾われ、彼の手により義手や義足を与えられ「百鬼丸」と名乗り、盗賊のどろろとともに、魔物から自身の身体を取り戻す旅に出るのだった。

 本作は生まれて直ぐに身体の48箇所をも魔物に奪われた百鬼丸の物語だ。作品は1967年に「週刊少年サンデー」で連載がスタートしたが、内容の暗さと陰惨さから「冒険王」へとその発表の場を移している。また作品内では身体の欠損や差別用語、さらには残酷な表現などといった、現代では規制にあてはまるであろう事柄が数多く描かれている。

 しかしそれは決して何かを貶めるためだけのものではなく、百鬼丸が人として成長する過程や、物語の時代背景を考慮し描かれたものなのだ。そのためファンの間では『どろろ』の再アニメ化を喜ぶ一方で、作品の世界感が損なわれはしないかと心配の声が多く上がっているのも事実である。

 手塚作品の名作でもある『どろろ』なだけに、これからの発表に注視したい。(記事:高塔・記事一覧を見る

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