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ストレスには風邪同様の感染性があることが判明
●感染性のあるストレスが他人の脳に及ぼす影響
カルガリー大学が医学雑誌「Nature Neuroscience」に掲載した研究結果によると、ストレスを感じている人の脳内の状態が、その人と接した別の人間の脳に伝播しうる可能性があることが判明した。マウスを対象に行われた実験結果は、今後人間にも応用できるか研究は続く。
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●他者を慰撫できる動物だからこそ生じる「感染」
人間をはじめ社会的な生活を営む動物は、不安感やストレスを感じている他者に慰撫を与えることができるといわれている。研究者によるとこうした関係は、一方的なものではなく相互に作用を及ぼすために、ストレスや倦怠感が感染する可能性があるのだという。ただし、その理由は現在もまだ解明されていない。
カルガリー大学のJaideep Bains教授率いる研究チームは、この相互作用により相手の脳にどのような影響を及ぼすかの研究行ったのである。
●つがいのマウスを使って行われた実験
研究チームは、つがいのマウスを使用して実験を行った。つがいのマウスのいずれかをケージから離して適宜のストレスを与えふたたびパートナーがいるケージに戻す。皮膚などに多少のストレスを受けたマウスと、パートナーのマウスのコルチコステロンの値を観察した。コルチコステロンは、ストレスホルモンと呼ばれストレス負荷時に分泌量が増加する。
その結果、コルチコステロンはストレスを実際に受けたマウスだけではなく、神経細胞にストレスを受けていないパートナーのマウスの血中でも増加したことが記録されたのである。ただし、この現象は行動科学の分野からは説明可能だ。なぜなら、他者のストレスや危機感を感知すると、みずからはそうした危険にさらされないよう防御反応が起こるためである。
●化学の分野から見たストレスの「感染」
研究チームは、この現象を生理学の分野から説明しようと研究を開始した。つまり、ストレスを受けたマウスからパートナーのマウスがそれを感知するためには、ストレスを伝播する仲介の物質が存在すると考えたのである。
観察した結果、その伝達シグナルは、ストレスを受けたマウスがケージ戻されたさいに、肛門部でフェロモンとして発せられていることが明らかになった。
このフェロモンを分泌するためには、マウスの脳内でなんらかの細胞の活性化が必要となってくる。パートナーが分泌するフェロモンにより、ストレスを受けていないマウスの脳内にも影響を与えているのである。
また、相互作用によるストレスの「緩和」は、マウスの雌にだけ生じた現象であることも明らかになっている。
●人間にも応用できる論理か
マウスの実験だけでは今のところ限界があるが、人間の精神的外傷やストレスの研究にも今後や一助となる実験である。
ストレスに関連するさまざまな疾病の治療のためにも、研究は継続すると研究者たちは語っている。
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