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百貨店の凋落止まらず ネット通販3社の売上高が全国百貨店の合計を抜く
松屋銀座。(c) 123rf[写真拡大]
ネット通販大手3社(アマゾンジャパン、楽天、ヤフー)の売上高が17年に6兆7000億円となり、およそ6兆円となる全国百貨店売上高(速報値)を初めて抜いた。百貨店の凋落振りが改めて鮮明になった。
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ネット通販3社の売上高は、対前年比13%の増加になったのに対し、百貨店協会のまとめによる全国百貨店売上高はおよそ6兆円で、やや甘いが前年並みとなった。
経済産業省のまとめによるネット通販の売上高が約15兆円なので、大手3社のシェアはおよそ44%に及ぶ。ネット通販大手3社の売上高が仲良く2ケタの伸長を見せたのに対して、百貨店の売上高は都市部の店舗でやや回復の動きが見られるものの、人口の流出が続く地方店では厳しさが増しており、百貨店合計では前年実績値並みを確保するのがやっとの状況だった。
往時の百貨店は誇り高き小売業の雄だった。消費者の篤い信頼に応えるだけの、高度なクオリティに裏打ちされた商品が店頭で覇を競っていた。特に、アパレル企業との強い協力関係で構築されたビジネスモデルは、他に比較するものがない当時の商環境で圧倒的な存在感を示していた。今から考えると、相互依存関係とも言えるビジネスモデルがほぼ破綻し、百貨店は大きな方向の転換を迫られている。しかし、羅針盤にどの航路を使って、目的地をどこに定めるかという明確な進路は示されていない。
百貨店の不振は地方においてより鮮明で、1999年に311店を数えた百貨店の店舗数は既に230店程となり、200店を割り込む時期も遠くないとの見方に信憑性が高まっている。百貨店は売上の3割をアパレルに依存していた。売り場を預ければそれなりの結果を出してきたアパレルは、いつの日にか百貨店の屋台骨を背負うまでになっていた。そのアパレルが20億点と言われる商品供給を40億点まで増加させながら、既往の売上を確保するのがやっとという価格破壊に巻き込まれ、百貨店のステータスだった“高級感”をも奪い去ってしまった。そこそこの商品であれば、ユニクロでも通販でも頓着しない時代になった。既に百貨店のビジネスモデルは失われてしまったのだ。
百貨店の賑わいは“デパ地下”に名残をとどめているが、食品や総菜の分野でも品揃えを充実させてアピールを図るスーパーや商店街の努力は侮れない。着飾って百貨店に行き、高級感に浸るマダムは絶滅危惧種になってしまった。交通至便な一等地で巨艦を運営する多大なコストが今、百貨店を苦しめている。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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