日本は世界より気温上昇ペースが速い!? 環境省などが未来の気候変動を予測

2018年2月19日 19:13

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 日本は世界より早いペースで気温が上昇している。しかも今世紀末には、日本の平均気温は20世紀末と比べて、5.4度も上昇するという。

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 これは環境相、文部科学省、農林水産省、国土交通省、気象庁によってまとめられた報告書『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響~』に明記されている。

 今回の予測はIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の第5次報告書、および気象庁による地球温暖化予測情報(第8巻/2013・第9巻/2017)、21世記末における日本の気候(2015)をベースに、4本のシナリオ(計18ケース)で予測をしている。

 日本の気象予測については、100年あたりの年平均気温上昇が、世界は約0.73度の割合に対して日本は1.19度と、世界よりも早いペースで気温が上昇していることを指摘。当然、真夏日・猛暑日の増加が予測されている。最も気温が上昇するシナリオでは、21世紀末の沖縄・奄美地域において、年間54日程度増加すると予測している。

 気温上昇にともない、熱中症の増加も予測されており、気温が最も上昇するシナリオにおいて、その数は現状と比較的して、21世紀半ば(2031-2050年)で2倍以上に増加するという。

 降水量については、現状ですでに強い雨が増加し、降水日が減少していることを指摘、将来的には、さらにこの傾向が強まることを予測している。また、積雪についても今世紀末には、日本全体で大幅に減少し、逆に本州や内陸部では『10年に一度の大雪』が現在よりも高頻度になることを予測している。

 日本の主食であるコメについては、温暖化による品質の低下、および収穫量の低下を指摘するも、地域によって偏りが出てくると予測している。同じく農作物についても、気象の変動によって、栽培適地が移動することを予測。もし世界の平均気温が1990年代と比べて2度上昇した場合、ワイン用ぶどうの栽培適地が、北海道の標高の低い地域で広がることになるという。

 サンマの来遊量についても予測されており、温暖化による水温の上昇がサンマの南下を遅らせ、秋ではなく冬にピークが訪れることになるという。また、来遊時期が遅くなることでサンマの体重が減少することも懸念している。

 日本政府は2015年に「気候変動の影響への適応計画」を閣議決定しており、温暖化に対して具体的な政策を実行していくことをすでにを決めている。(記事:和田光生・記事一覧を見る

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