ベンツAクラス新時代のエンジン VWに対抗するもニッサン、マツダに追いつけるか?

2018年2月16日 05:40

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新型A-Class(画像: メルセデス・ベンツの発表資料より)

新型A-Class(画像: メルセデス・ベンツの発表資料より)[写真拡大]

 メルセデスベンツが新しいAクラスを、打倒VWを掲げて市場に送り込んできた。そのボディは初代Aクラスを知るものとしては、画期的、安定的で、メルセデスベンツも日本車やVW、BMWに対抗できる小型車造りが身についてきたと感じる。

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 初代Aクラスは、スラローム走行で転覆する事故を起こし、修正を余儀なくされたことがあった。大型車ばかりを作ってきたメーカーが小型車に乗り出した時、どの様な障害があるのか分かりかねるが、歴代の初代アメリカ小型車を見ても、パッケージングに違和感を覚えたものだ。大型車をカットしたようになってしまっていたのが印象的だった。

 小型車造りにおいては、大型車で優秀な車を輩出してきたメルセデスベンツでも戸惑っていたのが印象的だった。現代のトヨタ・プリウスにみられるがごとく、プラットフォームの作り方、マフラーの形状などを工夫し、床下スペースの高さを下げて、最低地上高を保ちながら全高を抑えている。プリウスは小型車であっても、居住スペースを確保したうえで大型車のプロポーションを保っているのだ。その当時のメルセデスベンツでは、プラットフォームの設計自体、どこか大型車になってしまっていたのであろう。

■新エンジンへの期待

 今回のメルセデスベンツAクラスのハイライトは、おそらくは新型エンジンであろう。熱効率をとことん上げようとして、涙ぐましい努力が感じられる。ガソリンエンジン2種類とディーゼルエンジン1種類のラインナップがあり、ここにきてPHVではなくクリーンディーゼルを出してきたことに、メルセデスベンツの苦しみがあろう。

 ガソリンエンジンの1種類は、1.3L直4DOHCターボ163psで、VWの1.4L140psを意識したものだった。M282と呼ばれるこのエンジンはルノーと共同開発とされている。気筒休止メカニズムを搭載したこのエンジンは、メルセデスベンツ、ルノーの近未来期待の省燃費エンジンだ。もう1つのガソリンエンジンはM260型2.0L直4DOHCターボ 224psだ。

■フリクション増大の宿命

 メルセデスベンツの「NANOSLIDE」技術を使い、ピストンにもEco-Toughコーティングを施してシリンダー内部のフリクションを低減し、少しでも熱効率を上げようと努力している。昔の高回転型エンジンとは打って変わって、ボア×スローク比でロングストローク型をとる現代のエンジンは、ピストン上下の運動でのフリクション低減技術が欠かせない。

 ロングストロークだと、どうしてもピストンの動作スピードが回転数の割に上がってしまうので、ピストンリングの密閉性を保って燃費向上をしなければならないため、フリクションの増大を招いてしまうのだ。この辺りは、隠れた現代のエンジンの重要な部分だ。

■日産、マツダの新エンジンに勝てるのか?

 これほどベンツは努力しているのだが、日本の日産・可変圧縮比(VCR:Variable Compression Ratio)エンジン、マツダ・SKYACTIV-X・SPCCIエンジンが画期的な技術開発をしているので、比較してみて、これからの伸びしろとしてはどうなのであろうか?

 「EV分野と双璧の技術」とみられる、これらの「エンジンの熱効率向上」に注目していこう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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