【フォード・マスタング・ブリット(上)】スペシャルティー・カーとカーアクション トヨタ生産方式

2018年1月28日 16:18

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フォード「マスタング・ブリット」(画像: フォードの発表資料より)

フォード「マスタング・ブリット」(画像: フォードの発表資料より)[写真拡大]

 自動車の歴史上でも、映画の歴史上でもエポック・メイキングな車であり、映画だった。語りつくせないほどの話題がある。

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■車の金字塔 スペシャルティー・カーとトヨタ生産方式

 「スペシャルティー・カー」の登場だが、1968年登場したフォード・マスタングGTは、その後の多くの車に影響を与え、現在の自動車生産の常識となっている「オプション」で「自分だけの車を作る」生産方式を確立した車だ。「トヨタ生産方式」にも多大の影響を与えた。日本車では「トヨタ・セリカ」の生産方式は、フォード・マスタングをまねたものだった。現代の「順序生産」を目指す生産方式が表面化した始まりだった。

 フォード・マスタングGTは「アメリカンGT」と呼ぶのがふさわしいであろうが、巨大なエンジンを積んで、強引に走る、石油ショック前の、きわめてアメリカ人的な発想のGTの象徴だった。この流れは日本のプリンス・スカイライン2000GTを生み出したといってよいだろう。当時の1500セダンのノーズを20cm伸ばし、6気筒2000ccを詰め込んで「GT」と名乗った手法は、アメリカの影響だった。現在では欧州車の影響かと思われているニッサン・GT-Rにつながる物語だ。

■カーアクション映画の始まり「ブリット」

 フォード・マスタングGTは、当時8000ccV8エンジンを積んで、強烈なトルクを示していた。映画「ブリット」の中で、サンフランシスコの坂道を使って「カーアクション」をスティーブ・マックイーンが見せたのだが、それは現在の常識となったカーアクション映画の始まりだった。いま映画「ブリット」を見ると、なんともテンポが遅いのだが、当時は大変迫力のあるカーアクションだった。

 限定発売になったマスタング・ブリッドでは、スティーブ・マックイーンの孫娘が見せるCMアクション・ムービーが作られているが、当時の画面と比べると大変興味深い。ホイールスピンを起こす場面はアメリカンGTの特性で、巨大な低速トルクを発揮する「大排気量エンジン」の象徴だ。しかし、新旧の差は、マスタング・ブリットは現代の車らしく、スリップはするけれど、上下にどたばたと弾まないことだ。

 映画「ブリット」が成功したポイントは、迫力あるカーアクションだったのだが、当時の「アメ車」はサスペンション・セッティングがなっていないのが当然だった。柔らかすぎるサスペンションのおかげで、タイヤが巨大なトルクを受け止められず、「ドタバタ」と暴れるのが普通で、乗っていても見ていても、それが迫力を作り出していた。

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