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ビットコイン包囲網 「国際的な枠組み形成」への動き強まる!
18日、フランスのルメール経済・財務相とドイツのアルトマイヤー財務相代行はパリで共同会見し、3月に行われる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の場で、仮想通貨に対する規制案を共同提案する考えを表明した。「ビットコインを規制する考えで一致した」と、仮想通貨を国際的に規制する呼びかけを行うことを明らかにした。アルトマイヤー氏も同一歩調であることを強調した。
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マネーローンダリング(資金洗浄)が容易であるため、テロ資金の温床となることが懸念されていることに加えて、価格が激しく乱高下することで金融システムの安定を阻害する懸念もある。G20で国際的な統一規制の方向性が決まれば、仮想通貨市場は冬の季節を迎える可能性がある。
中国は17年にICOを禁止したうえに、国内の取引所を閉鎖し、「採掘(マイニング)業者」の一掃を始めた。米証券取引委員会(SEC)はビットコイン先物を使った上場投資信託(ETF)の認可に慎重だ。トルコ政府は11月、「ビットコインや暗号通貨はイスラム法に抵触する」という見解を発表している。今月1日にエジプトのイスラム最高指導者でスンニ派に影響力を持つ、シャウキ・アラム師は「コーランに照らしてタブーである」と表明し、シーア派のイラン中央銀行のバリオラ・セイフ総裁も「どうしても容認できない」と、声明を発表した。イスラム内で長年敵対関係にあるスンニ派とシーア派が「ビットコイン」(仮想通貨)に対する姿勢は同じだ。国家単位では規制強化へ向かっていることは否めない。
しかし、世界各国では本人確認の徹底や取引所の閉鎖を検討したり、ファンドが投資を目的として購入することを禁止するなど、それぞれの問題意識に合わせた対応が見られるものの、言ってみればバラバラな対応となっていて統一感に乏しく、抜け道だらけの状態だ。そんな危機感がG20での規制案創設へと向かっている。
日本は17年に改正資金決済法により、仮想通貨を「支払手段」として認めている。それに伴い、取引所を登録制とし、顧客の資産を分別して管理することを義務付けている。日本の金融庁幹部は独仏の動きについて「国境を瞬時に行き来する仮想通貨は、世界で一律の規制を敷くべきだ」として、発想は共有できるとしている。麻生太郎財務・金融相は「何でもかんでも規制すればいいというものではない」と諸外国とのスタンスの違いを際立たせているが、今後の国際的な規制がどういう方向に向かい、日本がどのような立ち位置を占めるのかが注目される。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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