長島圭一郎引退 五輪へのこだわりと持ち続けた『らしさ』

2018年1月2日 13:32

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 昨年の12月30日まで長野・エムウェーブで行われたスピードスケート平昌オリンピック代表選考会の結果を踏まえ、男女の五輪代表選手が決まった。

 メダルの期待がかかる小平奈緒や高木奈那・美帆姉妹、男子では4大会連続出場となる32歳の加藤条治等、活躍が期待されるメンバー16人が選ばれた中、初日に行われた男子500mに出場したベテランの長島圭一郎は14位に終わり平昌五輪への出場を逃し、現役引退を表明した。

■日本人らしからぬ強気な姿勢と金メダルへのこだわり
 「実力を出し切った。これで気持ち良く辞められる」

 かつて世界のトップを争い続けたバンクーバー五輪銀メダリストは2度目となる引退を決意し、清々しい表情を見せた。

 日本の『お家芸』とも呼ばれた男子500mを支えた競技者としての高いパフォーマンスとともに、発せられるコメントが常に人々の注目を集めた。

 2014年、ワールドカップで優勝するなど好調を維持していたソチオリンピック開幕前、五輪に挑む意気込みを求められた際には「勝てる自信しかない」とコメント。また当時、共にメダル候補であり同じ所属先だった加藤条治と比較されることが多かったものの、「金メダルを獲るのは自分」と強気の姿勢を崩さなかった。

■現役復帰から再びオリンピックを目指し
 「トリノ、バンクーバー、ソチと3度やって金メダルを獲れなければ才能がないということ」という独特の言い回しでソチ五輪への覚悟もみせ、優勝候補の本命とみられながらオランダ勢に敗れ結果は6位に終わる。レース後、「申し訳ない。(飛行機の)チケット代を返したい」と、金メダルに届かなかった悔しさを表現した。

 2014-2015シーズン終了後引退を決意するも、「五輪で1番をとりたい」と2016年に現役復帰を果たす。国内大会等への出場を重ね、4度目の五輪出場を目指したが、選考会で好結果を残すことが出来ず夢は潰える。

 W杯通算13勝を誇り、五輪での金メダルに誰よりも強いこだわりを見せ続けた長島圭一郎。

 「ボコボコにされて終わることができた」。世界で最も美しい理想的なフォームと称された男はそう語り、静かにスケート靴を脱いだ。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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