日本人にも固有種が存在した!? ミトコンドリアDNAで辿る日本人のルーツ

2017年12月22日 10:47

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縄文時代や弥生時代の住居である竪穴式住居。

縄文時代や弥生時代の住居である竪穴式住居。[写真拡大]

 現代の日本人は縄文人と渡来人と混血して誕生した。国立科学博物館で人類のDNAについて研究する篠田謙一博士は、Newton誌において、そう述べている。

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 人類の起源を探る研究では、母親から子供へ受け継がれるミトコンドリアDNAの分析し、同じ特徴を持つグループ「ハプログループ」に分類する手法が使われる。

 現代日本人のDNAには縄文人と渡来人のDNAがおおむね2:8の割合で残っているという。その縄文人のDNAがM7aとN9bである。

 M7aは日本人にしか見られないグループで、韓国の一部で確認されているものの、縄文時代に日本から移住したと考えられている。M7aは南方に起源があるとされている。

 N9bもまた、朝鮮半島沿岸部で一部見られるものの、基本的には日本人にしか見られないグループである。N9bはシベリア付近に起源があると考えられている。

 これは大陸からやってきた渡来人が日本に住み着いていた縄文人を淘汰することなく、混じり合いながら勢力を拡大させていったことを表しているという。そして、現代の日本人の基礎なると弥生人が誕生した。

 また、縄文人のDNAとされる二つのグループは、北方(シベリア系)と南方(アジア、東南アジア系)を起源とする、二つの種族がいたことも理解できる。

 人類の起源は東アフリカに存在した新人(ホモ・サピエンス・サピエンス)だとされている。その東アフリカを旅だった集団の一部が日本列島にたどり着き、日本人の祖先の一つである縄文人となったと考えられている。

 新人がどのタイミングで日本列島にやってきたのかまでは、判明していない。縄文時代(約1万5,000年~約3,000年前)には縄文土器を代表とする狩や漁を中心とした独自の文化を築いていたことだけは確かである。

 弥生時代(約3,000年~約1,700年前)になると、大陸から渡来人が渡ってきて縄文人と合流し、稲作文化などを伝えた。そして弥生人という呼称がつけられたのである。

 その後のことは日本史を紐解けば、日本人がどう歴史を築いてきたかを知ることができるだろう。

 縄文時代と弥生時代の文化のレベルに大きな差違があるため、縄文人は滅んでしまったのではないかと考える人も多い。しかし、DNA鑑定をしてみると、日本人の原種ともいえる縄文人のDNAは、現代の日本人にもしっかりと受け継がれているのである。(記事:和田光生・記事一覧を見る

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