所得税改革案 会社員年収850万円超で最終決着 与党税調

2017年12月13日 06:32

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 自民、公明両党の税制調査会は11日、給与所得控除の見直しで増税となる会社員の年収を850万円超とすることで最終合意した。一旦は年収800万円超としていたが、公明党内での反対意見に配慮し、引き上げる。増税の対象となるのは、高所得で子供や介護が必要な人がいない会社員で、全会社員の4%にあたる。14日にまとめる2018年度与党税制改正大綱に盛り込み、2020年1月からの実施を目指す。

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 給与所得控除の見直しは、2018年度税制改正における所得税改革の一つ。年収850万円以下の人は一律10万円を減らすが、年収850万円超で控除額の上限を195万円とし、当初案の190万円から引き上げた。一方で誰でも受けることができる基礎控除も10万円引き上げる。この結果、年収850万円までは税負担は変わらないが、年収900万円で1.5万円、年収1,000万円で4.5万円の増税となる。

 増税となる会社員の年収基準をどこにおくかは、所得税改革の最大の焦点であった。年収800万円超から年収1,000万円超程度が議論の対象となったが、財務省は税収が最も多くなる年収800万円超を主張。2019年10月に消費増税と併せて導入される、食料品などの税率を下げる軽減税率の財源に充てるためだ。自民党も財務省案を認め、一旦は年収800万円超としていたが、「中間層の生活を直撃する」として公明党が反発。公明党への配慮から年収850万円超となった。

 自民党が公明党へ配慮した理由の一つに、憲法改正に向けた協力を取り付けたいとの思惑がある。安倍政権の悲願である憲法改正には総議員の3分の2以上という高いハードルがあり、公明党の協力は必要不可欠だ。政府や首相官邸、与党それぞれの思惑が交錯しながら決着した今回の所得税改革案。本来の目的である「多様な働き方での税格差をなくす」改革となるかは、実施後の行方を見守る必要がありそうだ。

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