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電力自由化から約1年、1割の家庭が契約切り替え
電力自由化が施行されてから1年、およそ10%が電力会社の契約切り替えに至ったが、今後さらに一般家庭に電力自由化が根付くためには業者側の啓蒙活動が不可欠である。[写真拡大]
電力会社をそれぞれの家庭で自由に選ぶことができる「電力自由化」が施行されておよそ1年、経済産業省は電力自由化が実施された後の契約切り替えについておよそ10%ほどの家庭が行ったと発表した。この中には、電力自由化に際して新規に参入してきた新電力と呼ばれる事業者の他、既存の電力会社内でプラン変更をしたケースも含まれている。電力自由化の特徴は、既存の電力会社のみならず、これまで電気とは直接関わりのなかった業者も新規参入を促すなど、従来の枠組みにとらわれない文字通り「自由」な選択ができるという点にある。実際に契約を切り替えた10%という数字はその選択をした層の数というわけだ。
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もっとも、この10%という数字は電力自由化という事象で考えた場合少し物足りない数字かもしれない。電力自由化が施行されおよそ1年が経過しているものの9割が未だに従来の契約のまま電気を使っているということになる。もともと日本人は急激な変化を好まず安定志向であるという国民性ではあるが、それでもここまで切り替えが進まない背景にあるのは国民性だけではなさそうだ。ソフトバンクが電力会社を切り替えていない理由について調べた結果、切り替えていない層のおよそ半分が「手続きが面倒そうだから」と回答している。その次に多い回答が「安くなるかどうか不安だから」という答えが続く。こうした調査結果からわかることは、電力自由化は知っていても具体的にどうなるのか道筋が見えていないことが、切り替えが進んでいない原因といえるかもしれない。もちろんマンションなどの賃貸住宅では切り替えたくてもできないケースもあるが、こうしたケースはむしろ少数だろう。
確かに電力自由化によって切り替えたいと思った場合、具体的にどんな手続きをすれば良いのかわからない、という人は多い。また、実際に切り替えるにしても用意しなければならない書類が増えてくればそれだけ手間がかかる。そして、手間をかけて切り替えたとしてもその後の電気料金が安くなるかどうかは契約してみないとわからない。そもそも自宅の電気料金が現在どのくらいなのか完全に把握しているという人は少数派だろう。仮に電気料金が安くなったとしても、そのタイミングによってはあまり実感できない可能性もある。
電力の自由化はこれまで電気とは無縁だった業者の新規参入による競争原理の導入で経済の活性化についても期待されている。このまま絵に描いた餅にならないためには、それぞれの業者ごとに改めて正しい知識を伝える啓蒙活動が欠かせない。切り替えまでの明確な道筋が見えてくれば、電力会社の契約を切り替えるケースももっと増えてくるはずだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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