豊田通商と近大の完全養殖「近大マグロ」、海外輸出へ始動

2017年10月6日 06:32

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豊田通商と近畿大学の事業領域。(画像:豊田通商/近畿大学発表資料より)

豊田通商と近畿大学の事業領域。(画像:豊田通商/近畿大学発表資料より)[写真拡大]

 豊田通商と近畿大学は、両者が生産する完全養殖クロマグロ「近大マグロ」と、近大の支援先企業である食縁の完全養殖ブリの、国外本格輸出を開始すると発表した。

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 近大マグロは、2002年に近畿大学水産研究所が完全養殖に世界で初めて成功した、独自技術によって育成されるマグロである。

 研究の始まりは1970年まで遡るというが、開発は困難を極め、長い時間を要した。マグロは繊細な生き物であり、その上共食いする性質を持っているなど、様々なネックがあったからである。

 完全養殖が初めて成功した2002年以降も、商用化に向けたコストダウン等の研究が鋭意進められた。2008年、これも世界初であるクロマグロ用配合飼料の開発にも成功、ここでどうにか産業化へのビジョンが見えてくる。そして2011年、従来は2~3%しかなかった稚魚の生存率が35%まで向上され、ようやく量産が可能となった。

 近大が豊田通商と組んで近大マグロの大量生産に乗り出したのは、2014年のことである。現在、日本国内の百貨店、飲食店等に販売されている。

 そして、クロマグロが絶滅危惧種に指定されたのも、同じ2014年のことであった。天然資源としてのクロマグロは枯渇が危惧されており、近大マグロに寄せられる期待は国際的にも厚い。

 なお、ブリは日本国内で主に消費される和食材と認識される向きが強いが、世界的な和食ブームを背景に、今後の市場拡大が見込まれているという。

 豊田通商と近大は、10月11日から13日まで幕張メッセで開催される第1回“日本の食品”輸出EXPOに「近大マグロ」と完全養殖ブリを出展、国内外のバイヤーとの商談を行うことを予定している。まずは東南アジアから輸出を開始し、2020年に2,000尾の輸出を目指しているという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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