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東芝、終わりの始まりか 半導体事業売却は9月に持ち越し
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東芝は8月31日の取締役会で協業先の米ウエスタンデジタル(WD)の陣営に半導体メモリー事業の売却に係る独占交渉権を与えるはずだったが、当日になって一転し各陣営との協議を継続すると発表した。危惧されていたように、WDとの交渉が未だに詰め切れていないこと、見切り発車できる内容ではないことを露呈したのである。WDにとっては、東芝が上場廃止になって破綻するかも知れないという問題よりも、この東芝の窮地をどうやって自社のメリットに結びつけるかということしか頭の中にはないようだ。
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日本的には、東芝が現在置かれている窮境を“忖度”して、あまり追い詰めないようにするという考え方もあり得るが、WDにそんな気配は微塵も感じられない。東芝もメモリー事業の売却差し止めを求めるWDの提訴を歯牙にもかけないような素振りは見せておらず、負い目があることを感じさせる。そんな状況で、メモリー事業と係争問題をワンセットにして2兆円、将来売却無効の判断が出るリスクも抱えながら敢えてリスクに挑む命知らずは出現しにくい。最大の理解者の筈の産業革新機構と日本政策投資銀行は、WDとの法的措置問題の解決を支援の条件にしている。完全に腰が引けている。
周囲が気を揉む6カ月間はかかると見られる独占禁止法審査期間についても、18年3月末での債務超過解消も斟酌しないWDが有利な立場になりつつある。東芝に次の一手の持ち駒がない以上、あなた任せの状況は変えられない。銀行団も融資を止めて破綻のきっかけを作ったと言われたくはないが、五里霧中の状況下で追加融資をすることは自らが株主代表訴訟の矢面に立つリスクがあり、刺激の少ない表現で融資回避の姿勢を見せることになるだろう。
とは言ってもWDにも弱みはある。WDはあくまでもハードディスク(HD)をメインとする業態であり、協業とは言いながら買収したサンディスクのおまけみたいな四日市のメモリー事業を自社で運営する力はない。東芝に見切りをつけて移籍する職員がいるにしても、現在の稼働状況を維持することは至難であるというのがもっぱらの見方だ。事業の毀損を最小限に抑えながら、最大の協業メリットをどこに見出す気なのか?
メモリー事業については売却以外の方途も考えられるが最早時間が足りない。このままでは、時間切れとなって東芝は栄光の歴史に幕を下ろす可能性も出てくる。果たしてどんな解決策を見出すのか、あるいは行き倒れてしまうのか。切羽詰まった状況の中で時間だけは確実に進んで行く。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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