加速する車の「電装化」、牽引する日本の高い技術力

2017年8月27日 22:48

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記事提供元:エコノミックニュース

今、車の電装化が急激な勢いで進んでいる。一昔前の車から新車に乗り換えると、車内の雰囲気がガラリと変わっていることに驚く人は多いだろう

今、車の電装化が急激な勢いで進んでいる。一昔前の車から新車に乗り換えると、車内の雰囲気がガラリと変わっていることに驚く人は多いだろう[写真拡大]

 今、車の電装化が急激な勢いで進んでいる。一昔前の車から新車に乗り換えると、車内の雰囲気がガラリと変わっていることに驚く人は多いだろう。カーナビゲーションやキーレスエントリーなどはもちろんのこと、10年前には高級車にしか搭載されていなかったような電子装備品が、今や軽自動車にも標準装備されている時代だ。

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 燃費も格段に向上している。HV車やPHV車などだけでなく、通常のガソリン車でも燃費性能は昔と比べて雲泥の差だ。これも電装化の目覚ましい進展による恩恵である。

 車の電装化に伴って、日本の自動車関連産業も活発化している。小型精密モータで世界最高峰の技術力を持つ日本電産は、車載モータが成長期に入ったことを受け、自動車部品会社の買収などで車載事業の拡大を図っている。

 また、電装品で世界トップレベルの技術力を持つデンソーも、自動車電装化の追い風を受けており、これまで主体にしていたトヨタ向け製品だけでなく、ホンダや独フォルクスワーゲンなどとの取引も拡大している。

 小型モータやECUの搭載数が増加していることで、細かな部品一つ一つの性能も重要になってくる。例えば、電流(電圧)制御、過電流制限、バッテリー残量検知などの目的で使用されるシャント抵抗器などもその一つだ。

 これについても、日本の電子部品大手のロームも市場での存在感を増している。そもそも、ロームの社名「ROHM」は、抵抗を表す「R」と、抵抗を示す単位「Ohm」に由来するもので、創業者である佐藤研一郎氏が立命館大学在学時に考案した炭素皮膜抵抗の特許が元になって創業された企業だ。いわば、同社のお家芸ともいえる分野。

 同社は今年8月にも、車載や産業機器など高電力が必要なセットの電流検出用途で高い評価を得ている高電力・超低抵抗シャント抵抗器「PSRシリーズ」に小型版となる「PSR100シリーズ」を新たにラインアップしている。この「PSR100シリーズ」は、抵抗体金属に高機能合金材料を採用したことで、低抵抗領域でも優れた抵抗温度係数(TCR)を達成。さらに、独自の精密溶接技術を駆使し、3Wの高電力で小型サイズ(6.35×3.05mm)を実現。本来両立が難しいとされる高電力と小型の両立に成功している。車載用途はもちろん、産業機器分野など厳しい温度保証が要求されるセットの回路にも余裕を持って使用することができるため、設計負荷の軽減やアプリケーションのさらなる小型化にも貢献するだろう。

 我々一般的なエンドユーザーは、車の性能を外側から漠然としか見られないために知ることは少ないが、車の電装化が加速して、より安全で快適な車が普及している陰には、こういった部品メーカーなどの技術者たちのたゆまぬ努力と、彼らが長年にわたって培ってきた高い技術力があることを忘れてはならない。今後の車の更なる進化が楽しみである。(編集担当:藤原伊織)

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