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三井智映子と学ぶ「資産運用のABC」~あなたは“お金のデザイン”ができていますか?~ 押さえておきたい時事問題TPP、2
*16:56JST 三井智映子と学ぶ「資産運用のABC」~あなたは“お金のデザイン”ができていますか?~ 押さえておきたい時事問題TPP、2
こんにちは、フィスコマーケットレポーターの三井智映子です。
皆さんと一緒に資産運用の基礎知識を学んでいくこの連載、前回に引き続き「TPP」を取り上げ、私よりも若い世代、現役の女子大学生の人たちをゲストに迎えて、お金の教養を深めていきます!
前回に続きTPPについて、メリットとデメリットをお伝えしますね。
「メリットとデメリットについても知りたいです!」
わかりました。そもそも関税とは主に自国の産業を守るためにあります。お米を例に取りますと、外国の安いお米がそのままの価格で入ってきてしまうと、日本のお米が売れなくなってしまい、日本の農家が衰退していってしまう懸念がありますよね。
「確かにそうですよね。そうなることを防ぐために関税はあるのですね。」
それを踏まえてその関税を撤廃するメリット、デメリットを簡単にご紹介しましょう。
まずメリットですが、輸入食品が安くなることが予想されます。さらに輸入品を原材料に使用している商品、たとえばパンやお菓子などの値下がりも見込まれます。外食産業の値下がりにも繋がるでしょう。また、国内外で活動する大手企業などは企業内貿易のコストが大幅に下がり利益が向上するでしょう。また貿易の自由化が進むことで日本の輸出額が増えることも期待されています。
さらに、TPPは関税を撤廃するだけではありません。一般に知られる関税撤廃は物品市場アクセスと呼ばれる分野にあたり、TPPではこの他にも原産地規則や知的財産、サービスなど多岐にわたります。
知的財産を例に挙げると、医療では実質8年間を過ぎると特許医薬品と成分が同じで価格が低いジェネリック医薬品の販売ができるようになるので消費者の医療費削減に繋がることも考えられます。
「たくさんメリットがありますね!」
そうですね。さらに和食ブームなどでライスワインとしても人気の日本酒の未来にも繋がりそうです。日本酒の輸出は酒類全体の約39%を占めていて年間約115億円にも上る人気。TPPによって米国やカナダがかける関税が直ちになくなれば恩恵は大きく、高知県などは官民一体で海外への販路拡大に取り組んでいるようです。
「ではデメリットは何なのでしょう?」
安い農作物が入ってくることで日本の農作物が売れなくなり農業がダメージを受けるかもしれません。食物自給率の低い日本にとっては大きな問題です。また農業が担っている環境維持機能が損なわれることで環境や伝統などが失われてしまうことも危惧されています。
また、海外の安価な商品が流入することで物価が下がってデフレが起こる可能性があります。そして保険の問題も大きいと言われています。今の日本は「国民健康保険制度」「保険点数制度」のおかげで国民すべてが同等の医療を受けることが出来ますが、医療保険の自由化などで日本でも医療格差になってしまう懸念もあるようです。
「そんな懸念もあるのですね。TPPというと農業のイメージが強くて医療もなんだなって改めて知ることができました。」
そう、TPPは「農作物、工業製品、サービスなどすべての商品に対する貿易障壁を取り除く」という名目なのですが、医療もサービスに含まれますし、国の法律や制度も範囲に含まれているのです。消費者にとっては多くのメリットがある反面、リスクもあります。
TPPに加盟することが攻めのリスクだとしたら、入らなくてチャンスを逃す守りのリスクもあるので、今回日本は攻めのリスクを取ることを選んだ、といったところでしょうか。
「アメリカはどうしてTPPから抜けたのですか?」
トランプ米大統領が選挙での公約を守った形です。ホワイトハウスのホームページでTPP離脱を明らかにするなどし、今年の1月23日トランプ米大統領は選挙公約通りにTPPからの正式離脱について大統領令に正式に署名をしました。米中の貿易摩擦が懸念されていますが、TPP離脱でアメリカはアジア諸国と距離を置くことになりますよね。
「そうなんですか…。トランプ大統領が意見を変える可能性はないのですか?」
そうですね…大統領令は「TPP交渉から永久に離脱する」ことを指示しており、トランプ政権は今後TPPに参加する可能性を完全に否定した形となっているので覆るのは難しいという意見もあります。
今後の動向も注視していきたいところです。
「ありがとうございました。私も注視したいと思います!」
こうした日常で耳にする経済のニュースへの理解を深め、実際に投資として「ポジションを持つ」ことにトライして頂きたいです。どこから始めて良いかわからないという方は、ポートフォリオを徹底して分散してくれる、人工知能を使った自動投資サービスを活用してみるのもよいと思います。「お金のデザイン」が開発したTHEO(テオ)は、簡単な質問に答えるだけで自動的に世界86の国・地域に徹底的に分散したポートフォリオを形成・運用管理してくれます。経済指標を眺めながら、投資への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
三井智映子と学ぶ「資産運用のABC」は、資産運用の基礎を三井智映子の見解でコメントしています。
FISCOマーケットレポーター
三井智映子《DM》
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