中国・四国地方にPAC3配備 北朝鮮有事に備え

2017年8月13日 06:54

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パトリオットミサイル。画像は米軍のもの。(画像:flickr/The U.S. Army)

パトリオットミサイル。画像は米軍のもの。(画像:flickr/The U.S. Army)[写真拡大]

 先日報じられた、北朝鮮による米領グアムへの弾道ミサイル攻撃の可能性に備え、防衛省はミサイルが通過する可能性のある中国、四国地方の4地点に、PAC3、地対空誘導弾パトリオットミサイルを配備した。

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 4カ所とは、島根県・出雲市、広島県・海田町、愛媛県・松山市、そして高知県・高知市の各陸上自衛隊駐屯地である。

 PAC3というのは、ごくかいつまんで説明すれば最新型のパトリオットミサイルのことを言う。パトリオットミサイルというのは、アメリカのレイセオン社が開発した、広域防空用地対空ミサイルシステムである。1991年の湾岸戦争のとき、イラク軍のスカッドミサイルを撃墜したことでその名を広く知られるようになった。

 ちなみに日本ではそれに先立つ1989年から、航空自衛隊の高射部隊が採用・配備を行っている。

 PAC3は、パトリオットミサイルの中でも、弾道ミサイル対策の性能強化が図られている。その日本での配備は2007年に始まり、2009年に行われた北朝鮮によるミサイル発射実験など、様々な機会でその運用が取沙汰されてきた(なお、2009年の事件に際しては実際には迎撃は行われていない)。

 PAC3は中国・四国地方には配備されていなかったが、前述の状況を受け、中部地方の拠点から自衛隊がPAC3を移動させる事態となったわけである。なお、PAC3によるミサイル迎撃には自衛隊法に基づく破壊措置命令が必要とされるが、日本政府は現在、2016年8月から、その命令を継続中である。

 現状、アメリカのトランプ大統領は、ツイッターなどを通じて北朝鮮に向けて強い警告を繰り返している。だが、北朝鮮が態度を軟化させるそぶりは見られず、一方でロシアのラブロフ外相が米朝間の危機的状況に関して憂慮のコメントを発表するなど、予断の許されない状況が続いている。

(画像: Flickr / The U.S. Army)(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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