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レイプ疑惑から見る日本、『チェンジリング』と合わせて考える社会の脆弱性
『チェンジリング』で扱われている事件は事実で、日本でもこのケースから学ぶべきことは多数存在する(c) 2008 Universal Studios[写真拡大]
■ある女性ジャーナリストの告白を必死に防ごうとするマスコミ界
2017年5月、著名なジャーナリストである山口敬之氏にレイプ疑惑が浮上した。被害者であるという女性ジャーナリストの詩織氏が記者会見を行ったのだ。
一方で、彼女の記者会見には「売名行為だ」という声もあり、その行動には賛否両論が巻き起こった。詩織氏は、捜査時にも警察から女性軽視と考えられる行動や質問があったと主張しており、捜査陣は、それについては「義務」の一点張りだ。こうした事例を見ていると、洋画『チェンジリング』のことが頭をよぎってしまう。
■映画『チェンジリング』とは
『チェンジリング』は2008年にクリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演で公開され、アカデミー賞では主演女優賞や撮影賞、美術賞にノミネートされた作品だ。
クリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)はシングルマザーで、息子のウォルターを1人で育てていた。しかし、突如としてウォルターが失踪してしまい、クリスティンはロサンゼルス市警に捜査を依頼する。当時は少年がさらわれる事件が多発していたこともあり、不安でいっぱいだったクリスティンだが、捜査から5カ月して息子が見つかったという知らせが届く。
喜びを胸に息子を引き取りに行くクリスティンだが、警察が連れてきた子供はウォルターではなかった。クリスティンは自分の子供ではないと抗議するが、警察から「精神異常だ」と判断されて精神病院に収容されることになるのだ。
■嘘のような本当の話
『チェンジリング』最大の特徴は、1920年代に起きたゴードン・ノースコット事件を大々的に取り上げた点にある。ゴードン・ノースコット事件とは、当時アメリカ全域で発生していた連続少年誘拐殺人事件のことである。この実際の事件をもとに、『チェンジリング』は作られているのだ。
警察が子供の替え玉を使ってまで事件収束を狙ったのは、当時ロサンゼルス市警に力が無かったことに理由がある。当時の市警はギャングと密接な関係がばれ、マスコミや市民から攻撃を受けていた。その影響で弱体化したロサンゼルス市警は、早急に事件を解決するしかなかったのだ。そのため、クリスティンは子供の「替え玉」で事件収束を図られた訳だが、警察の事情で彼女が虐げられるのはあまりにも不合理な事実だ。
■現在にも生かされる教訓
圧倒的な権力によって女性が虐げられるケースは、時々にして見られるものではないだろうか。また、『チェンジリング』に出てくるような警察だけではなく、腐敗してしまったマスコミ界が早急な解決を図るために、出来事をうやむやにしてしまうこともある。警察やマスコミが本来の機能を失っているのであれば、一つの事件をきっかけにしてでも、膿を出し切ると共に抜根的な改革の必要性があるかもしれない。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る)
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