要注意 SNSが闇金の温床となる危険性

2017年6月2日 07:57

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 日本経済新聞が5月31日の電子版で『外国人の口座売買が横行 留学生や技能実習生』という見出しにて、「生活費や帰国前の小遣い稼ぎを目的に口座を売却するケースが頻発している。売られた口座はインターネットバンキングの不正送金や振り込め詐欺に悪用されている」といった警鐘の記事を伝えている。

【こちらも】「おまとめローン」が孕む危うさ

 口座の売買は主に、SNSや口コミが仲介の役割を果たしているという。言うまでもないが、銀行口座の売買は違法行為である。

 そして警察庁によると2015年に発覚したネットバンキングの不正送金事件で、送金先口座の名義人2367人中約75%が外国籍だったという。最も多いのは中国人、ベトナム人も急増しているとされている。摘発を受けた外国人の大方が「口座の売買が違法とは知らなかった」としているという。

 一連の報道に接し、背筋にゾッとするものを感じた。

 読者諸氏には無縁の世界であろうが、世の中「知っておいて損」なことはない。前に「銀行の“おまとめ口座への懸念”」について記した折りに知恵を拝借した債務整理に強い弁護士氏から、「闇金の常套手段!?」を聞いた。

・どこでどう調べたのか多重債務者の元に、「融資をしたい」という連絡が入る。それも決まって携帯電話からである。
・1件連絡が入ると、同様の連絡がやはり携帯電話を介して複数から入ってくる。
・利息は10日で1割~3割が概ね。
・背に腹は代えられない状況の多重債務者は借り入れに応じ、10万円の借入に対し10日後に3万円の利息を指定された口座に振り込む。
・繰り返しているうちに「そろそろ元本の返済も」となる。屁理屈という以外にないが、元本は2倍・3倍に増えている。
・「それはないだろう」「いやそれが我々の世界の常識なんだ」といった遣り取りが繰り返し続く。
・そうこうし続けているうちに、闇金側から「よしわかった。利息だけでも払い続けてきてくれたあんただから、特別に通帳(の口座番号)を売ってくれれば全てチャラにしよう」という提案!?が示される。
・「闇金にとって利息なりの返済口座が1カ所だけでは、不自然な資金の流れを金融機関に気取られて警察にでも通報されたら元も子もないからだ。無数の口座を抱えているのは、いわば連中の商売上のインフラ」(弁護士)

 SNSに闇金が目をつけたら果たしてどうなるか。既に着目し活用しているかもしれない。行き着く先は「推して知るべし」であろう。彼らは無駄な段取りを踏むことなく、SNSを利用し僅かな金で「貸金返済用闇口座」を持つことが可能になりかねない。

 ことのついでに件の弁護士に「闇金から逃れる法」を尋ねてみた。「表に出てしまったら闇金でなくなる。まずは携帯の電話番号を控えて置き××の△△弁護士、ないしは■■警察の生活安全課に連絡したと伝えること。警察や法関係者が間に入ったことを知れば、彼らも身の安全を最優先し、まず連絡を入れてこなくなる」。

 SNSを生かすも殺すも利用者の思惑次第と言ったら言い過ぎだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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