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トヨタ、元町工場でハイブリッド発電システムの実証を開始
トヨタ自動車は、固体酸化物形燃料電池(以下、燃料電池)とマイクロガスタービンを組み合わせた加圧型複合発電システム(以下、ハイブリッド発電システム)を、愛知県豊田市の元町工場敷地内に設置し、実証運転を始めた。今回の実証では、本システムを工場の自家発電設備として使用し、エネルギー効率、運転性、耐久性を検証・評価する。
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ハイブリッド発電システムには、天然ガスを改質して取り出した水素と一酸化炭素を利用し、燃料電池とマイクロガスタービンが個々に発電する二段階の発電機構が使われている。定格出力は250kWで、発電で生じる排熱を、エネルギーとして活用するコージェネレーション(熱電併給)を採用している。
二段階の発電を採用したことで、高い発電効率を達成し、また、コージェネレーションの活用で、総合効率も上昇している。ハイブリッド発電システムは、低炭素社会の実現に向けた有効な技術になり得る。発電された電力と排熱は、元町工場内で利用される。
このハイブリッド発電システムは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「円筒形SOFC-マイクロガスタービンハイブリッドシステムの市場投入に向けた技術実証」の一環として実施され、トヨタおよびトヨタ子会社であるトヨタタービンアンドシステムと三菱日立パワーシステムズが共同開発したものである。
トヨタは、今回のハイブリッド発電システムの導入と実証結果などを踏まえ、工場内での効率的水素活用技術の開発と導入をさらに進める。また、2015年に発表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の一つ「工場CO2ゼロチャレンジ」の達成に向け、工場CO2排出量低減の取り組みを一層強化する。
日本の地球温暖化対策は、COP21で採択されたパリ協定や昨年7月に国連に提出した「約束草案」をもとに、総合的かつ計画的に推進すべく2016年5月13日に「地球温暖化対策計画」が閣議決定された。この計画は、温暖化対策を進める礎となるもので、中期目標として2030年度に2013年度比で26%削減、長期目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指している。ハイブリッド発電システムは、CO2の削減推進目標のために、また新しい安定した電力供給システムとしても注目される。(記事:服部小夜子・記事一覧を見る)
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