運転支援機能搭載車、国内初の事故 日産セレナ

2017年4月16日 13:52

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画像はイメージです。(画像:いらすとや)

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 昨年11月27日、運転支援機能によりかかるはずだった自動ブレーキが悪条件が重なった為にかからず前方車に追突、という事故が千葉県で起こっていたことが明らかになった。車種は日産のミニバン「セレナ」。

 事故を起こしたのは、試乗車であったという。試乗車であるので、日産の販売店の営業担当者が同乗していた。運転していたのはトラック運転手の男性であった。営業担当者は、「本来ここはブレーキを踏むべき場面ですが、(自動ブレーキがかかりますので)踏まないでください」と言ったのだが、実際には自動ブレーキがかからなかったため、車はそのまま前方の乗用車に衝突、乗員に怪我を負わせた。

 この事故で、運転していた男性が自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、営業と販売店の店長が業務上過失傷害の疑いで、それぞれ書類送検された。3人はいずれも容疑を認めていて、警察は、「自動運転はあくまで補助的なものであり、それを過信しないよう、警鐘をならすために立件した」としている。

 さて。男性にとっては実に災難な話であるが、事故当時の状況は、夜間、しかも雨が降っており、さらに追突した相手の車の色が黒であったという。セレナとその運転補助装置に故障や異常は無かったのだが、他にも対向車の前照灯など、悪条件が複数重なったため、本来なら単眼カメラが視覚的に状況を察知して作動するはずの「エマージェンシーブレーキ機能」が働かなかったものであるという。

 なお、警察の発表によると、そもそも日産のマニュアルでは、夜間・降雨時に試乗を行うこと、一般道でクルーズコントロール機能を使用することを禁じている。

 ちなみに自動運転がらみの事故は日本ではこれが初の事例となるようだが、海外(アメリカ)では、テスラのモデルSが自動運転機能絡みでの死亡事故を起こしたという例がある。2016年5月7日のことである。

 自動運転機能は既に人間の能力の水準を超えていると言われて久しいが、それにしても、この世に完璧な存在というものは無い、ということでもあろうか。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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