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東大ら、PDA活用した障がい児の学習・生活支援の事例集を発表
東京大学先端科学技術研究センター、ソフトバンクらは、携帯情報端末(PDA)を活用した障がい児の学習・生活支援を2016年4月からの1年間にわたって実施してきた(「魔法のプロジェクト2016 ~魔法の種~」)[写真拡大]
東京大学先端科学技術研究センター、ソフトバンクらは、携帯情報端末(PDA)を活用した障がい児の学習・生活支援を2016年4月からの1年間にわたって実施してきた(「魔法のプロジェクト2016 ~魔法の種~」)。このほど、活動の成果をまとめた報告書をWebページにて公表し協力校が取り組んだPDAの具体的な活用事例を紹介している。
一例として、コミュニケーションや学習が苦手で、行動意欲が低い生徒に対して、タブレット端末を活用した日記作成を通して、コミュニケーション面や学習面での成長および意欲向上を図ったケースが紹介されている。5W1Hを意識して日記を作成するようなフォーマットの導入や、感情表現に用いる単語をあらかじめ選択肢として表示しておくといった日記入力の際の工夫により、表現手段の習得で成果を上げている。また、タブレット端末を自宅に持ち帰ることで、時間に制限されず日々の生活を記録、写真や文章を使って支援者とのコミュニケーションを図り意欲向上につなげている。
読み書きに障がいのある生徒にiPadによる音声サポートや辞書ツールを活用し学習面および心理面の成長を図ったケースでは、文章を読む手段として、iPadの読み上げ機能やツールを活用。支援者による音読がなくても自ら読みたい文章を読むことが可能となった。定期考査では問題文読み上げ措置を適用し、成績向上が見られた。作文の支援ではマインドマップツールなどで情報や気持ちの整理を行い、辞書ツールやGoogle検索により不明なものを調べるようにした。通級指導に来られないときのサポートとして、学習用のSNSを活用。生徒からの質問や相談などの学習支援を行った。iPadやツールを活用したこうした取り組みにより、学習面の成長のみでなく自己肯定感の獲得につなげている。
PDAを活用した障がい児の学習支援を目的とする「魔法のプロジェクト」は東京大学先端科学技術研究センターとソフトバンクグループにより、09年よりスタート。「魔法のポケット」「魔法のふでばこ」「魔法のじゅうたん」「魔法のランプ」「魔法のワンド」「魔法の宿題」といった活動を通して実践されてきた数々の取り組み内容を共有している。PDAやツールの進化に伴い、障がい児へのサポートにもより最適な手段が模索されるべきで、同プロジェクトにより成果を上げたサポート手段の普及が期待される。(編集担当:久保田雄城)
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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