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高所の送電線点検にドローンを起用、東京電力
送電線は鉄塔の設置された場所によっては、ヘリコプターや高倍率スコープでも点検できない場合がある。ドローンであれば自動制御で接近が可能になるだろう。ただし送電線の修理をする時は従来通り、高所作業の専門職である電工の技術が必要になる[写真拡大]
東京電力<9501>とブルーイノベーション、テプコシステムズの3社はドローンによって電力設備を自動点検する「ドローン飛行システム」の開発に合意した。2018年4月には実証試験を開始する予定だ。
東京電力管内の超高圧送電線は28,382キロメートルあり、この送電線を支えるもっとも高い鉄塔は地上149メートルで、およそビル40階分の高さに相当する。従来、送電線の点検作業は高所作業を担当する電工という専門職が送電線まで上り、宙乗り点検と呼ばれる目視確認が行われてきた。この方法は送電線の電気を止めなければならず、さらに作業時間がかかることから、現在は主に地上からの高倍率スコープとハイビジョンVTRを搭載したヘリコプターによる点検が導入されている。東電はこの2つのシステムによって点検作業のコストを約4.4億円削減した。
しかしヘリコプターは飛行費用がかかる上に熟練したパイロットの技術が必要になる。高倍率スコープは人里離れた山間部では設置場所が難しい。これらの欠点を補い、安全でさらにコストを削減できるシステムとして着目されたのがドローンだ。
3社共同による「ドローン飛行システム」は事前に飛行経路を作成、ドローンはその経路に従って自律飛行を行い、高解像度や赤外線カメラで撮影した映像を端末デバイスやホストサーバーに送信、点検後は自動で充電基地に戻るというもの。送電線だけでなく建物内の通信設備にも適用され、システムが完成すれば高所作業の安全性向上や電工の後継者不足解消、さらにコスト削減が実現される。
ブルーイノベーションはドローンを活用したシステムインテグレーションを請け負う企業で、これまで360度パノラマ映像を端末デバイスで閲覧できるアプリ「Blue Sky Pano」の開発や屋内ドローンを使って残業する社員の抑制を図る「T-FREND」システムを提供している。また東京大学、リコー<7752>と共同で非GPS下でも経路上の障害物を自動で回避できる安定した飛行システムを開発しており、この技術が今回の「ドローン飛行システム」に応用される。
ドローンは東京電力の点検システムだけでなく気象観測や災害時における被害状況の確認、航空機の機体チェック、さらにはイノシシ対策にも使われており、ドローン使用市場の規模は20年には15年の約16.7倍になると予測されている。ドローンを使うアイデア次第では新事業を立ち上げるチャンスが十分に潜在している市場といえるだろう。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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