AIでフェイクニュースを判定、計算社会科学の応用ひろがる

2017年3月28日 12:03

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記事提供元:エコノミックニュース

米大統領選以降、メディアに対してフェイクニュースの判定・対処を求める声が強まっている

米大統領選以降、メディアに対してフェイクニュースの判定・対処を求める声が強まっている[写真拡大]

米大統領選以降、メディアに対してフェイクニュースの判定・対処を求める声が強まっている。Facebookなどでは外部のファクトチェック機関を活用したフェイクニュースの報告・判定システムを導入しているが、ユーザーから報告のあったコンテンツのうち、Facebookが削除あるいは閲覧禁止処置を実施したのは39%にすぎず、報告後24時間以内に削除された投稿は33%にとどまっているとの調査報告もある。

 フェイクニュースや違法な投稿からの影響を重く見たドイツでは、3月14日にFacebookなどのSNSが違法な投稿を迅速に削除せず放置した場合、最大5000万ユーロ(約61億円)の罰金を科す法案を提出している。フェイクニュースの判定・対処にはFacebookだけでなく多くのメディアが手を焼いているが、こうした要望に応える可能性があるものとして、世論やスキャンダルの影響を計算科学で分析する計算社会科学(CSS)が注目を集めている。

 米大統領選ではトランプ陣営がフェイクニュース拡散による有権者へのインパクトを計算して活用したことが話題となった。日本においては東日本大震災を契機にSNS上に流れたデマの検出や伝搬経路解析技術の開発が進められ、SNS上のテキストを人工知能技術で解析、デマ情報に対しての対立するつぶやきや訂正情報を拾い、早期収束に貢献している。同技術はフェイクニュースの特定や拡散抑制にも応用できる。また、民意や世論の分断を加速させているといわれるSNSでのネットワーク構造分析にも同技術が応用可能だ。実際SNS上での情報拡散に関連するユーザー属性の解析に同技術が活用され、コミュニティーごとの拡散しやすいトピックの分析が進められている。

 米国では住民の投票履歴など、あらゆるデータを総動員して日和見層を特定し選挙活動に反映するなど統計手法が積極的に活用されているが、日本でもCSSの活用が再生医療の意識調査などで広がっている。今後はSNSでの誤解拡散防止や訂正支援システムでの活用、ヘイトニュースなど偏ったニュースや感情を煽る表現の特定にも応用される見込み。(編集担当:久保田雄城)

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