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米下級判事、Google利用者データは米国外保存でも米国の令状で開示強制
headless 曰く、 米国・ペンシルベニア東部地区連邦地裁のThomas J. Rueter下級判事は3日、Google利用者のデータは米国外のサーバーに保存されていても米国の捜査令状で開示を強制できるとの判断を示した(裁判所文書: PDF、The Register、BetaNews、Softpedia)。
捜査令状はStored Communication Act(SCA)に基づいて発付された2件で、個別の犯罪捜査に関連するGoogleアカウントのデータを連邦捜査局(FBI)捜査官へ開示するよう求めるものだ。捜査令状が発布されたのは2016年8月だが、米国の捜査令状ではアイルランドに保存されたMicrosoftアカウントのデータを開示させることはできないとの連邦第2巡回区控訴裁判所判決が7月に出ている。そのため、Googleは米国内のサーバーに保存されたデータのみを開示し、米国外に保存されたデータについては開示を拒否していた。
Rueter下級判事はGoogleがユーザーのデータを世界各地のサーバーに分散して保存しており、パフォーマンス最適化のために自動で保存場所を頻繁に移動していることを指摘。保存場所の移動でユーザーのアクセスや占有権が損なわれることはないため、米国外のデータをカリフォルニアにあるGoogleのデータセンターに転送することは合衆国憲法修正第4条で規定される押収には該当しないと判断している。また、捜査機関による電子的データへのアクセスは押収に該当しないとの判例もある。
第2巡回区控訴裁判所では、違法捜査からプライバシーを守るために規定されているSCAの捜査令状に関する条項は米国外への適用を想定したものではなく、Microsoftのアイルランドのサーバーに保存されたデータの開示を求めることはできないと判断した。しかし、Rueter下級判事は捜査機関によるデータへのアクセスが米国内で行われることから、SCAに基づく捜査令状が有効だと述べている。
また、データへのアクセスがサーバー所在国の主権を侵害するのではないかとの懸念については、保存場所が常に自動で移動しているため、どの国の主権を侵害することになるのかGoogleにもわからないことを指摘する。そのため、サーバー所在国に捜査協力を求めるのは現実的に不可能であり、捜査令状はペンシルベニアで執行されることから、いずれの国の主権も侵害しないと判断した。
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