mame 2017年春夏コレクション - 一面桜の海だった、ある春の日

2017年2月3日 09:13

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記事提供元:ファッションプレス

 mame(マメ)が発表した2017年春夏コレクションのテーマは「TIMELESS」。これは、芥川賞受賞作家・朝吹真理子の小説から影響を受けたものである。デザイナー黒河内真衣子は、作中の一節、例えば、使い捨てカメラを表現した‟そこらじゅうでジージー樹脂製の歯車の音がする。”といった言葉に、自身の記憶を重ね合わせるときがあり、そういった体験が今季のインスピレーション源となっている。

 そしてもう一つ、フリーダ・カーロも黒河内の心を揺るがした。遺品を撮る写真家・石内都が捉えたフリーダのドレス、靴、化粧品から彼女の生涯、女としての一面を感じとり、2017年春夏シーズンの物語へと繋げた。

 2人の女性が生み出した物からのヒントは大きく、特にフリーダの遺品からの影響は、ランジェリー、コルセットへの完成へと結びついた。しっかりと腰回りをホールドするその力強さに反して、出来上がった女性らしい曲線的なシルエット。コルセットに由来したレースアップのディテールは、ニットやワンピースにも落とし込まれ官能的な魅力を放っている。

 懐かしいアイテムからのささやきは、テキスタイルへの探求心をもくすぐった。今回は、古い生地やアーカイブのレースを巡り、その経験が海外で見つけたレースを胸元にあしらったロングドレスやトライバル模様をのせた今治タオルのガウンなどの登場へと導く。

 制作中に花を咲かせた桜は、シーズンアイコンへ。淡いピンクや濁った桃色などがコレクションを駆け抜け、異国でみた絣のような生地に桜の面影を落とし込んだ。軽やかなジャカードは差し込まれたフラワーモチーフは、桜の塩漬けのような姿で、どこか懐かしく気持ちをなだめてくれる。

※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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