空売りファンドの手法の是非

2016年12月19日 08:03

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記事提供元:フィスコ


*08:03JST 空売りファンドの手法の是非
今年になって外資系空売りファンドの日本市場への参入が目立つようになった。空売りは予め高値で売りポジションを持ち、安値となったところで買い戻して儲ける手法である。最近目立つ外資系空売りファンドの手法は、予め売りポジションを持ち、その後、標的となった銘柄についてかなり過激な文言をちりばめた売りレポートを出すというものだ。
 レポートはいわゆる内部者情報ではなく公表されている情報ないし公開情報に基いて作成されるため、インサイダー取引規制にはかからない。ただ、指摘が虚偽の事実の場合には風説の流布や信用毀損罪が、事実が真実であっても過激な言説が行き過ぎた場合は法人に対する名誉毀損罪も成立しうる(私益を図る目的であることは明白)。民事では企業や株主に対する損害賠償が問題になりうる。
 一方で空売りファンドの主張が真実であれば、不合理な株価形成を是正する作用があるといえる。 確かに、エンロン事件のように空売りファンドの指摘により不正が暴かれるというような事もあり、一概に空売りファンドが悪というわけではない。
 ただ、外資系空売りファンドは虚偽の事実とはすぐに断定できないような微妙な線を狙ってくる。代表的な例が会計や税法上の解釈が分かれるような部分だ。  
 主張に根拠がなければ、株式市場はそのようなレポートを相手にせず、株価形成には影響ないはずともいえる。しかし、衝撃的な題名や言説によるレポートが出た場合、瞬時に判断ができず一時的に株価が暴落するようなことは容易に想定できる。
 指摘が真実かどうかについて、法解釈等で幅がありうることを知悉した知ったうえで(あるいは確信自体が曖昧なまま)派手な売り煽りレポートを出すことで、上記の収益機会を得られることは正義にかなうであろうか。
 現在の法に抵触しないからといって何をやってもいいというわけでもなかろう。金融当局や証券取引所は監視を強め、行き過ぎた行為が多発するようであれば、市場や一般投資家を守るために最低限のルール作りや法規制を検討すべきである。《YU》

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