米連邦地裁、猿が撮影した写真の著作権者は猿自身であるとの訴えを却下

2016年1月10日 23:26

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記事提供元:スラド

米国・サンフランシスコの連邦地裁は6日、インドネシア・スラウェシ島で野生のクロザルが撮影した写真について、クロザルの著作権を主張する訴えを却下した(連邦地裁の意見書: PDFConsumeristの記事Ars Technicaの記事)。

問題の写真は英国の野生動植物写真家 David Slater氏がスラウェシ島で撮影中に、野生のクロザルがカメラを奪って撮影したもの。米著作権局は自然や動植物により作られたものは著作権保護の対象にならないとの見解を示しているが、英国ではSlater氏の会社Wildlife Personalitiesが著作権を取得しているという。

しかし、動物愛護団体のPETAは写真を撮影したオスのクロザル「Naruto」が著作権を保持していると主張。これらの写真を使用したSlater氏の写真集でSlater氏とWildlife Personalitiesが著作権者として記載されているなどと述べ、Narutoを原告としてSlater氏とWildlife Personalities、写真集を出版したBlurb社を訴えていた。

連邦地裁のWilliam Orrick判事は2004年の連邦巡回区控訴裁判所の判例を示し、動物に人間と同様の権利を認めるかどうかは国会や大統領が判断することだが、著作権法改正の動きはみられないと指摘。人間だけが著作権を保持できるとする著作権局の見解に異論はないと述べている。

なお、Slater氏側は、そもそも写真を撮影したのはNarutoではなく、メスのクロザルだったと主張している。 スラドのコメントを読む | YROセクション | YRO | 法廷 | スラッシュバック | 著作権 | アメリカ合衆国

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