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2016年秋にも発売されるというプリウスPHVは、EV走行50km以上を目指す。ボディはプリウスと共用だが、前後パンパーや灯火類の形状を変えて差別化を図るという。写真はUS版プリウス[写真拡大]
トヨタが12月9日に発売した4世代目の新型ハイブリッド車(HV)「プリウス」。その燃費性能は40.8km/リッターを達成。すでに、来年(2016年)中にも発売される予定のプラグインハイブリッド車(PHV)「次期プリウスPHV」についての噂でもちきりだ。
新型プリウスが発表になり、次期プリウスPHVの期待が高まるが、HVではなくて、なぜPHVが必要なのだろうか。そこには、以前レポートした米国のZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)規制がある。つまり、北米でクルマを販売するメーカーには、排気ガスや二酸化炭素を一切排出しないで走るクルマを一定割合販売することが義務づけられるからだ。そのため、メーカーは電気自動車(EV)やPHVの開発を競っている。日産・ルノー連合やフォルクスワーゲン(VW)などはEVで、メルセデスはすでに長距離EV走行が可能で、燃費性能で優れるSクラスとCクラスにディーゼルPHVをラインアップする。
その北米市場に投入するのが次期プリウスPHVだ。ベース車となる新型プリウスは、セグメントを超えて部品を共通化するTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)に沿って開発した初めてのクルマだ。次期プリウスPHVの基本的な構成は、新型プリウスと同じだ。新型のために開発したプラットフォームはCセグメント向けだ。次期プリウスPHVでも部品配置は共通、大きくレイアウトなどを変えなくてもプラグインハイブリッド車として成立するはずだ。
開発中の新型プリウスPHVは2015年12月9日に発売する新型プリウスをベースに開発しているが差別化を図るため、フロントデザインやヘッドライト、フロントバンパーなどを変更する予定だ。
次期プリウスPHVは、EVモードの走行距離を現在の26kmより大きく延ばすことを目標に開発している。噂では50km超ともいわれている。そのEVモード走行性能を延ばすために必要なのが、高性能リチウムイオン電池や大トルクのモーターだ。新型プリウスHVの駆動用電池は、性能重視のリチウムイオン電池とコスト優先のニッケル水素電池を使い分けている。プリウスPHVではEV走行を重視するため、エネルギー密度を高めたリチウムイオン電池を開発している。また、駆動用モーターは、新型プリウスHVより大きい。先日発売されたVWゴルフのPHVであるGTEは、EV走行距離53.1kmとなっている。トヨタは現行のプリウスPHVを「充電プリウス」としてPRしてきたが、発売から3年半の国内累計販売は約2万台で、当初の販売目標の20%程度しか販売できていない。「電気で走れる距離が短く、HVとの差別化が不十分だった」とトヨタは厳しく分析している。
また、PHVは家庭で充電できる点がメリットとされる。が、そのためには電源のあるガレージが必要だ。外の駐車スペースで剥き出しの電源から夜間に充電するのは、あまりに不用心。現行プリウスPHVでは、EV走行をするためには、基本的に家庭での充電作業を必要としている。が、新型PHVでは、エンジンで発電機をたくさん回転させることで、家庭での充電作業を減らす、あるいは無くすことも目指す。
新型プリウスHVは、リチウムイオン電池を先行して搭載した「現行プリウスα」が搭載する電池に比べてセルを小型化した。一般的にセルを小型化すると電力を蓄える活物質の割合が減り、効率が悪くなる。が、搭載性と軽量化を考慮して電池のレイアウトを、従来の荷室下搭載から後席のシートクッション下搭載に変えた。限られたスペースに載せるためにセルを小型化したわけだ。
次期プリウスPHVの駆動用バッテリーレイアウトはどうなるだろう。新型プリウスよりも増えるバッテリーを、センターコンソールや荷室に収めることも考えられる。次期プリウスPHVのJC08モード燃費は、現状の61km/リッターから69.0km/リッター程度までアップすると思われる。EVはロングドライブには適さない。電気切れの不安が付きまとうからだ。短距離はEV走行で、ロングドライブならガソリンで走るPHVならば、電気切れの心配も無い。ハイブリッド車に次ぐトヨタの主役になると開発を急ぐ。(編集担当:吉田恒)
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