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「完全民営化が先」 ゆうちょ銀行の限度額引き上げで反発相次ぐ
他行、特に地方でゆうちょと共存してきた地銀・信金の懸念は強い。利用者にとっては、限度額が上がれば口座をまとめることができるなど、利便性は高まるのだが…[写真拡大]
政府が、ゆうちょ銀行の預入限度額を現在の1000万円から引き上げる見込みだ。政府の郵政民営化委員会が12月10日の会合で引き上げを容認。早ければ来年にも実現させる予定で、今後必要な政令の改正作業に入る。
「地方の利用者の利便性向上」を目的とした今回の限度額引き上げだが、関係団体の反発が根強い。主な主張は「民業圧迫だ」というもので、みずほフィナンシャルグループ<8411>の佐藤康博社長は「ゆうちょ銀行のさらなる拡大につながり、地方金融機関が大きな影響を受ける」と懸念する。
佐藤社長の弁にあるように、特に不安をあらわにするのは地方を拠点としている地銀・信金だ。茨城県信用組合の渡辺武理事長は、「ゆうちょ銀行と民間金融機関との公正な競争条件が確保されていない以上、限度額引き上げは認められるべきではない」と話す。
郵便局は全国に2万4000局以上ある。JAバンクが8164拠点、銀行トップの三菱東京UFJ銀行<8306>が766拠点であることと比べても、日本最大の金融機関であることは明らかで、渡辺理事長の言う「公正な競争条件」にあるとは言いがたい。
そのような中、ゆうちょ銀行を傘下に持つ日本郵政グループ が、完全民営化を目指して11月に上場。ゆうちょ銀行への出資比率を段階的に50%程度まで下げ、将来は保有株すべてを売却する方針を示した。この動きには他の金融機関から歓迎の声が上がったが、横浜銀行<8332>の寺沢辰麿会長は「完全民営化に向けた道筋を早く示すべき」と述べ、まだ道半ばであることを強調した。
まちに金融機関がゆうちょ銀行しかないという地域の利用者の中には、預入額に上限があることで不便に感じている人もいるだろう。それでも、時期尚早の感は否めない。全国郵便局長会が重要な票田であるとされており、来夏の参院選を見越しているという指摘もある。他の金融機関へのケアや国債中心の運用からの脱却、前述の日本郵政の出資率引き下げなど必要な手順を踏んでからでも遅くはないのではないか。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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