「ソユーズ2.1a」ロケット、ロシアの新宇宙基地「ヴァストーチュヌィ」に到着

2015年10月6日 08:00

印刷

記事提供元:sorae.jp

「ソユーズ2.1a」ロケット、ロシアの新宇宙基地「ヴァストーチュヌィ」に到着(Image Credit: Roskosmos)

「ソユーズ2.1a」ロケット、ロシアの新宇宙基地「ヴァストーチュヌィ」に到着(Image Credit: Roskosmos)[写真拡大]

 ロシア連邦宇宙庁は2015年9月24日、ロシアの新宇宙基地「ヴァストーチュヌィ」に、最初の「ソユーズ2.1a」ロケットが到着したと発表した。これから組み立てが始まり、打ち上げは今年12月ごろに予定されているが、本当に打ち上げられるかはまだ不透明となっている。

 ロケットは9月6日、貨物列車に載せられ、製造がおこなわれたRKTsプラグリェース社の工場を出発した。工場はロシアのサマーラにあり、極東のアムール州にあるヴァストーチュヌィ宇宙基地まで、ほぼロシア連邦を東西に縦断するように輸送された。

 ロケットは各段や部品などが分かれた状態で輸送されているため、これからヴァストーチュヌィ宇宙基地の組立棟で、組み立て作業が始まることになる。

 ヴァストーチュヌィ宇宙基地からロケットが打ち上げられるのはこれが初めてで、記念すべき第1号機となる。なお、ソユーズ2.1aそのものは、これまでバイコヌール宇宙基地やプレセーツク宇宙基地、また南米仏領ギアナのギアナ宇宙センターから、20機以上が打ち上げられている。

 ヴァストーチュヌィ宇宙基地は、ロシア極東のアムール州で建設が進められている新しい宇宙基地で、完成後はカザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の能力を引き継ぎ、静止衛星や有人宇宙船の打ち上げ場所として使うことが計画されている。ソユーズ2ロケットとアンガラ・ロケット用の複数の発射台が建設される他、宇宙飛行士の訓練センターや空港、ロケット推進剤の精製プラントなど、多くの機能を持つ施設になるという。

 バイコヌール宇宙基地はもともとソヴィエト連邦内にあったが、ソ連崩壊後はカザフスタン共和国のものになり、ロシアはバイコヌール宇宙基地を引き続き利用するため、カザフスタンに対して年間100億円以上もの賃料を払い続けている。

 ヴァストーチュヌィ宇宙基地が完成すれば、カザフスタンに依存することなくロケットの打ち上げが可能となる。ただ、バイコヌール宇宙基地からの完全な撤退がいつになるかはまだ不明だ。

 また、ヴァストーチュヌィ宇宙基地の建設をめぐっては遅れが続いており、今年の春ごろには、建設会社による資金の横領や、作業員への賃金の未払いと、それに伴うストライキが起きているなど、さまざまな問題が発生していることが報じられている。

 現在のところ、今回輸送されたソユーズ2.1aの打ち上げは今年12月に予定されているものの、イズヴェスチヤ紙は9月29日に、「建設の遅れが原因で、最初の打ち上げは2016年の中ごろまで遅れるかもしれない」と報じている。また9月に出回った基地内部の写真から、ロケット組立棟や発射台が未完成であることがわかっている。

 さらにザ・モスクワ・タイムズは10月2日、「建物の設計ミスでロケットが組み立てられない状況にある」とも報じており、本当に12月に打ち上げられるかは不透明な状況にある。

■РОСКОСМОС. РН «СОЮЗ-2.1а» ПРИБЫЛА НА КОСМОДРОМ «ВОСТОЧНЫЙ»
http://www.federalspace.ru/21738/

【関連記事】
「プログレスM-29M」補給船、打ち上げ成功 ISSとドッキング
「プログレスM-29M」補給船、発射台へ ISSへの補給物資載せ10月1日打ち上げ
「ソユーズST-B」ロケット、欧州の「ガリレオ」航法衛星2機の打ち上げに成功
「ソユーズTMA-18M」宇宙船、打ち上げ成功 4日にISS到着予定
「ソユーズTMA-18M」宇宙船、発射台へ 2日打ち上げ

関連記事