イトーヨーカ堂が5年かけて全店舗の2割を閉鎖する理由とは

2015年9月24日 08:38

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記事提供元:エコノミックニュース

イトーヨーカ堂を運営するセブン&アイ・ホールディングスは、今後5年で40店舗の閉鎖を検討すると発表した。「過去のチェーンストア理論の否定」と同社が明言する、その理由とは何なのか。

イトーヨーカ堂を運営するセブン&アイ・ホールディングスは、今後5年で40店舗の閉鎖を検討すると発表した。「過去のチェーンストア理論の否定」と同社が明言する、その理由とは何なのか。[写真拡大]

 イトーヨーカ堂を運営するセブン&アイ・ホールディングス<3382>は、今後5年で40店舗の閉鎖を検討すると発表した。「過去のチェーンストア理論の否定」と同社が明言する、その理由とは何なのか。

  セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニの「セブンイレブン」などは好調だが、総合スーパーであるイトーヨーカ堂は、2014年度の営業利益が前年度に比べて、80%以上減少するなどして、急激に営業環境が悪化している。

 これは、ファーストリティリングが運営するユニクロ<9983>などの専門店や、ヤマダ電機<9831>などの家電量販店、ディスカウントストアなどの郊外型店舗に売り上げを奪われているからだ。都市部は必ずしもそうではないが、地方部ではその傾向が特に強い。そんなことから、今後、イトーヨーカ堂が撤退するのは、地方の不採算店や施設の老朽化の目立つ店舗が中心となると予想される。

 セブン&アイ・ホールディングス全体では今期は、過去最高益を見込むなどして好調だが、総合スーパーであるイトーヨーカ堂の衰退は眼を覆うほどだ。総合スーパーという概念そのものが、今の時代には既に合わないのだろう。だからこそ、セブン&アイ・ホールディングスは、はっきりと「過去のチェーンストア理論の否定」をしているのだ。

 イトーヨーカ堂は、本部主導ではなく、各店舗が地域のニーズに合わせた品ぞろえを行うなどして、業績の改善に取り組んではいるが、今回の店舗閉鎖の発表は2017年4月の消費税率の10%への引き上げも視野にいれて、経営合理化を進める狙いがあるといっていいだろう。

 総合スーパー、ユニーを運営するユニーグループホールディングス<8270>もまた、「アピタ」「ピアゴ」のブランドの総合スーパーなどの最大50店舗の閉鎖の検討に入っている。同社は現在、ファミリーマートと経営統合協議を続けているが、これも総合スーパー不振の危機感からであろう。

 総合スーパーは、有力専門店やインターネット通販などの台頭によって、追いつめられた形なのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)

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