住友理工 欧州・南米向けの不振を好調な北米、堅調な中国向け、国内向けでカバーし2ケタの増収

2015年8月1日 22:58

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記事提供元:エコノミックニュース

■IFRS適用後初の四半期決算で利益黒字化


 7月28日、住友理工(旧・東海ゴム工業)<5191>が4~6月期(第1四半期)決算を発表した。4月1日から始まった今決算期より国際会計基準(IFRS)の任意適用を開始しており、業績を比較する前年同期、前期の数値はIFRSで計算し直している。

 連結の売上高は、北米、中国での自動車向け製品の販売が堅調だったことに加えて為替の円安効果も出て、前年同期比10.2%増の1044.9億円と2ケタの増加。ドイツの子会社アンヴィス(Anvis)社の事業構造改善費用をその他費用に計上すると前年同期は赤字になった利益は全項目で黒字化し、営業利益は24.8億円、税引前利益は23.3億円、四半期利益は11.3億円、最終利益は7.5億円だった。

 2016年3月期の通期見通しは、連結の売上高は前期比4.7%増の4200億円、営業利益は95.6%増(約2倍)の160億円、税引前利益は117.0%増(約2.2倍)の140億円、当期利益は176.8%増(約2.8倍)の80億円、最終利益は426.2%増(約5.3倍)の60億円を見込んでいる。年間配当は中間期9円、期末9円の計18円で前期から据え置き。5月8日に2015年3月期決算と同時に発表した通期見通しの修正はなかった。

■自動車向け製品の海外売上2ケタ増を達成


 住友理工は開発、製造、販売で、世界5極のグローバルな事業基盤を有している。

 主力の自動車向け製品のセグメント売上高は前年同期比11.0%増の904.4億円で、営業利益は20.9億円(前年同期は9.6億円の営業損失)だった。国内の自動車販売は低迷したが、2014年に量産を開始した燃料電池スタック向けゴム製シール部材の販売も寄与し、国内向け売上はほぼ前年並みを確保した。日系自動車メーカーの海外販売は北米で好調で、主力の自動車用防振ゴムとホースが北米向けで売上を伸ばした。堅調だった中国向けとともに、事業再編を進めた欧州向け、経済状況が悪化して自動車生産が大きく減少したブラジル向けの減少分をカバーし、海外売上は2ケタ増を達成した。

 自動車以外の一般産業向け製品のセグメント売上高は前年同期比7.9%増の172.9億円で、営業利益は中国市場の販売低迷の影響などにより26.8%減の3.9億円だった。産業資材関連製品では、中国の景気減速でインフラ需要が後退して建設・土木機械向け高圧ホースは前年同期の実績を下回ったが、国内市場の鉄道車両用防振ゴム、集合住宅向け制振装置の販売が堅調に推移した。プリンター向け機能部品など事務機器向けの精密部品も国内販売が安定していた。

 収益力については、原材料調達や生産体制の見直しなどのコスト削減活動「Global Cost Innovation(GCI)」、資金効率の改善を目指す活動「Cash Conversion Cycle(CCC)」を推進し、高収益の経営体質の構築に注力している。

■燃料電池車用部材の専門製造子会社を設立


 今期は北米向けなどの販売拡大に備えて三重県松坂市の松阪製作所で自動車用ホースの生産ラインの能力を増強。7月には山形県米沢市に自動車用防振ゴム製造・販売の新会社「住理工山形」を設立した。この東北地方初の拠点は2016年稼働開始の予定になっている。

 5月には燃料電池自動車(FCV)に搭載する燃料電池(FC)部材の安定供給体制を確立するため、愛知県小牧市に100%出資の製造子会社「住理工FCシール」を設立し、FC部材の製造部門を新会社に集約した。住友理工の中核技術「高分子材料技術」を駆使したFCスタック用ゴム製シール部材「セル用ガスケット」は、2014年に発売されたトヨタ自動車のFCV「MIRAI」に採用されており、自動車の未来を担う次世代分野への先行投資が着々と進められている。(編集担当:寺尾淳)

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