人気モデルが復活しつつある新車販売6月期、2015年半期累計。カローラの躍進が光る6月

2015年7月12日 16:44

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記事提供元:エコノミックニュース

3月30日に大規模なマイナーチェンジを受けたトヨタ・カローラの販売が好調だ。6月単月販売で登録車2位に着け、トップ5の登録車で唯一6月に前年実績を上回る1万3542台(前年比135.7%)を販売した。この改良型のカローラシリーズは、1.5リッターガソリン車のエンジンを新開発「2NR-FKE」に切り替え燃費向上を図った。写真はワゴンのカローラ・フィールダー

3月30日に大規模なマイナーチェンジを受けたトヨタ・カローラの販売が好調だ。6月単月販売で登録車2位に着け、トップ5の登録車で唯一6月に前年実績を上回る1万3542台(前年比135.7%)を販売した。この改良型のカローラシリーズは、1.5リッターガソリン車のエンジンを新開発「2NR-FKE」に切り替え燃費向上を図った。写真はワゴンのカローラ・フィールダー[写真拡大]

 2015年1月から6月までの国内の自動車販売累計速報が発表された。日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の統計を見るとなかなか興味深い数字が並んでいる。

 登録車で6月の販売で際立っているのは、3月30日に大規模なマイナーチェンジを受けたトヨタ・カローラだ。6月単月販売で登録車2位に着け、トップ5の登録車で唯一6月に前年実績を上回る1万3542台(前年比135.7%)を販売した。

 この改良型のカローラシリーズは、1.5リッターガソリン車のエンジンを新開発「2NR-FKE」に切り替え燃費向上を図った。ベーシックな1.5リッターガソリンエンジンを一新した理由は、販売店に寄せられているユーザーの「それほど距離を乗るわけではないので、ハイブリッド車に投資するメリットはない。むしろ“価格の安いガソリン車の燃費を良くして”ほしい」という声に応えた結果だ。とくに年配のユーザーになればなるほど遠出はしない。そうした“生活の足”としてカローラを選ぶユーザーに向けて、「ベストなエンジン」として今回の新型ガソリンエンジンを開発搭載した。

 新開発したエンジンは、ハイブリッド技術で培ったアトキンソンサイクルエンジン採用に加えて、圧縮比を13.5まで上げることで高熱効率化図り、VVT-iE(電動連続可変バルブタイミング機構)で幅広く燃焼をコントロールすることなどにより低燃費を実現したという。

 加えて、アイドリングストップ機構を標準装備し、JC08モード燃費はセダンのアクシオで従来の21.4km/リッターから23.4km/リッター、ステーションワゴンのフィールダーで21.2km/リッターから23.0km/リッターに向上した。

 カローラシリーズには昨年夏からハイブリッド車が設定され、2014年の平均月販でハイブリッド車が54.7%に達していた。が、ハイブリッド優勢ななか、マイナー後に刷新された新型カローラのガソリンエンジン車が販売の底上げに貢献していると言えそうだ。

 6月登録車実績トップ10のなかで年々実績を上回った車種は、カローラのほかに2モデル。新型にスイッチしたホンダ・ステップワゴン。1.5リッターのダウンサイズ・ターボエンジンがニュースとなり7572台(前年比207.2%)、そしてクリーンディーゼルエンジンが極めて高い評価を受けているマツダ・デミオが6776台(前年比382.0%)となった。それ以外の登録車の6月販売台数はトップ10圏内の人気モデルは軒並み前年を割り込んだ。

 一方、軽自動車税増税のあおりを受けて、4-5月に連続して大幅減を記録した軽自動車の一部車種で売上が早くも回復の兆しを見せ始めている。軽自動車の6月新車販売は全体で16万3256台(前年比87.1%)ながら、6月販売トップはホンダN-BOXで1万6871台(前年比120.2%)と人気車種に力強さが戻った。ほかにもスズキ・アルトが1万0205台(前年比102.0%)、スズキ・ハスラー8331台(前年比105.3%)など、人気モデルの販売に光が差し込んできた。

 本年、つまり2015年1月から6月までの累計販売を概観すると乗用車トップはトヨタ・アクア12万1240台(前年比98.1%)、軽自動車トップ(全乗用車2位)のホンダN-BOXの10万6985台をどうにか凌いだ。ただし、乗用車3位以降はダイハツ・タント8万7602台(前年比64.6%)、4位日産デイズ8万7404台(前年比88.5%)、5位ダイハツ・ムーブ7万4566台(前年比90.7%)と続く。その後に、6位にようやくハイブリッドの登録車、プリウス7万1401台(前年比68.7%)、ホンダ・フィット6万7490台(前年比55.4%)が続く。

 車型別の人気モデルを見るとミニバンのトップは、ホンダ・ステップワゴンの追撃を何とか凌いだトヨタ・ヴォクシー、4万4850台(前年比83.8%)。これに昨年デビューした兄弟車のエスクァイア3万6566台と同じく長兄のノア2万6589台(前年比76.4%)を加えると、このトヨタ5ナンバーミニバンの強さが際立つ。

 ホンダ・ヴェゼルは、SUVの力強さ、クーペのあでやかさなど、ジャンルの枠を超えた多面的価値を高次元で融合したクルマとして好評を得て、2014年度SUV新車登録販売台数で第1位を獲得した。そして、その装備を充実させ、4WD車の設定を追加し、4月24日に発売した車種追加が奏功し、この1月-6月累計でも国内SUVトップの座をキープした。その半期の販売台数は3万8218台(前年比81.9%)で、登録車で総合9位ランクインした。取り敢えずホンダ・ヴェゼルはSUV2位で登録車12位のトヨタ・ハリアー3万1776台(前年比108.5%)の追い上げをかわしたということ。

 登録車、軽自動車ともに1月-6月累計でトップのトヨタ・アクア、ホンダN-BOXの販売が好調で、それぞれ2位以下にアクアは約5万台の大差を着け、N-BOXは約2万台のリードとしている。(編集担当:吉田恒)

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