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原発は重要電源だから確実に回収できるように?
北海道電力から沖縄電力まで電力10社で構成する電気事業連合会の八木誠関西電力社長は14日までの記者会見で、エネルギーミックスと今後のエネルギー政策に対して「電源構成比案が示されたのは一つの節目」とし「今回の案は全体としてバランスのとれた内容」とした。
八木会長は「原子力についても確保すべき規模が明示されたことは意義がある」と『確保すべき規模』とし、原発依存度をできるだけ低減する姿勢とは逆に、原発で確保しなければならない電源規模のような認識を色濃く示す発言となった。
八木会長は「原子力については安全を最優先に、1日も早い再稼働を目指す」とし「九州電力川内原発はこれまでに審査手続きが全て完了し、使用前検査が実施されているが、その他のプラントも含め、引き続き真摯に的確に対応する」とした。
そのうえで八木会長は「原子力発電への依存度低減の方針が示され、競争環境も一層進展する中で、事業の先行きが不透明になり、投資回収にも不確実性が増している」と提起し「我が国にとって重要電源と位置付けた原子力発電を今後も民間事業者が担っていくために、引き続き予見性をもって事業を計画・遂行できる環境整備が大変重要になると考えている」と原発を国が重要電源と位置付けたことを取り上げ、原発事業の展開がしやすい環境づくりを政府に求めた。
エネルギーミックスでは電力業界はじめ経済界が原発再稼働を強く政府に求めるなどしてきた結果での比率になった背景がうかがえる。
八木会長は参考人として出席した9日の参院経済産業委員会でも「事業者側が費用を確実に回収できるように」など国へ原発優遇策を求めるような発言をしていた。この日の委員会では倉林明子議員(共産)が原発事故は甚大な被害だけでなくコスト負担も膨大なことが東京電力福島第一原発事故で明らかになった旨指摘し、原発ゼロを目指すべきだと求めた。
エネルギー構成比率では2030年度に原発は22%から20%、再生エネルギーは24%から22%程度になっている。
原発問題やエネルギー問題に取り組む自民党の河野太郎衆議院議員(党行革推進本部長)は原発の比率について「既存の原発を40年で廃炉にしていけば、原発比率は11-13%程度にしかなり得ないのに、20%を超えている」と疑問を提起する。
河野議員は経産省の説明として「60年まで原発を使い、稼働率を引き上げれば、この数字は達成可能だとしている。原発の稼働率は、これまでも引き上げる、引き上げると言い続け、できずに石炭で差を埋めたということの繰り返しだった。同じ間違いを平然と繰り返そうとしている」としたうえで「再稼働もしていないのに、最初から原発を60年使いますというのも、おかしな話」と問題視した。
また再生エネルギーの比率についても「欧米は2030年に再生可能エネルギーの比率を40%程度まで引き上げる目標を掲げている」と疑問を呈した。(編集担当:森高龍二)
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