ミッキーマウス、日本ではパブリックドメインに?

2015年5月25日 16:52

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 2015年5月22日、ミッキー・マウスが初めて登場した短編アニメーション映画「蒸気船ウィリー」(1928年公開)の著作権が日本では期限切れとなる。初出の映画の複製権だけでなく、翻案権も終了する。

 もう切れてたんじゃないの?格安DVD売ってるし、という意見もあるだろうが、ディズニー社が訴えてないだけで違法販売とみなされる可能性はあった。

 映画に関する著作権の要点だけまとめると、下記のようになる。

 日米双方ベルヌ条約に加盟してるので、原則日本法で日本の著作物と同等の扱い。 
 米国の戦前の著作物に関しては、戦時加算(3794日)が必要。 
 現行法では「映画の著作物」は特別扱いで公開後70年(2004改正以前は50年)。 
 現著作権法の附則7条で「旧法での保護期間が長ければそちら」。 
 旧著作権法(1970以前)では「映画の著作物」の存続期間に関して個別の規定はない。 
 旧法では、法人著作なら公開起算で33年、個人著作なら没後38年。 これに従うと、「蒸気船ウィリー」が「旧著作権法の団体名義の著作物」の場合、新法移行時に新法「映画の著作物」としての保護が長いので公開年である1928年+著作権保護期間50年+戦時加算3794日で1989年に満了済み。

 また、ウォルト・ディズニー氏の個人著作と考えても、新法移行時に旧法「個人の著作物」としての保護が長いので没年である1966年+著作権保護期間38年+戦時加算3794日で2015年5月22日に満了となる。

 映画が個人著作とみなされるの?という向きについては一連の黒澤作品や、チャプリン格安DVD裁判の最高裁判例を参照されたし。

 なお、イラスト類について、映画の翻案としてではなく、映画の原画等の美術の著作物の複製とみなされる可能性(個人著作の場合は没後50年なので現在も著作権保護期間中)である点も一応申し添えておく。

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