東北大、金属薄膜のエッジでスピンが揃うことを発見

2015年2月1日 18:50

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半導体界面でのラシュバ効果を示す図(東北大学の発表資料より)

半導体界面でのラシュバ効果を示す図(東北大学の発表資料より)[写真拡大]

  • Bi薄膜の構造の模式図。通常の結晶は3次元、最表面は2次元の構造をもち、表面が不連続な場合は境界がエッジになる。エッジでは電子スピンの方向に偏りがあり、その方向はエッジによって異なる(東北大学の発表資料より)

 東北大学の高山あかり研究員らによる研究グループは、ビスマス金属薄膜のエッジ(端)で、スピンの向きが揃う「ラシュバ効果」が起きていることを発見した。

 磁性を示さない物質の表面では、ラシュバ効果と呼ばれるスピン軌道相互作用によってスピンの向きを揃えることができる。この効果を利用すれば新しいタイプのスピントロニクス素子ができると期待されているが、2次元面が必要なため素子の小型化に限界があると考えられていた。

 今回の研究では、紫外線を照射して飛び出してきた電子の性質を観測する「スピン分解光電子分光法」を用いて、ビスマス原子層薄膜のエッジ構造を調べた。その結果、エッジに存在する電子がラシュバ効果を示し、その大きさは表面で起きているものと比べて非常に大きいことが分かった。

 今後は、本研究成果を用いた新しいスピントロニクス素子が開発されることが期待される。

 なお、この内容は1月30日に「Physical Review Letters」オンライン版に掲載された。

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