【水田雅展の株式・為替相場展望】ドル高・円安加速、日経平均は07年2月の1万8300円も視野

2014年12月8日 09:33

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(8~12日)

■衆院選投開票控えて達成感にも警戒必要

 12月8日~12日の株式・為替相場は堅調な流れを継続しそうだ。前週末5日の米11月雇用統計が市場予想以上に強い内容だったことを受けてドル高・円安の動きが加速し、米国株も上伸したことを好感する。日経平均株価は1万8000円台に乗せ、07年2月の戻り高値1万8300円39銭が視野に入る。

 ただし、週末12日には先物・オプションのメジャーSQ(特別清算指数算出)、そして14日には衆院選の投開票を控えている。このため週後半には、日経平均株価1万8000円台乗せの達成感などで、波乱の展開にも注意しておきたい。

 前週(12月1日~5日)は、1日の米ムーディーズによる日本国債格下げが特にネガティブ材料視されず、4日に主要メディアが発表した衆院選の序盤情勢調査で「自民党単独で300議席に迫る勢い」「自民・公明の与党で3分の2が視野」といった報道がポジティブサプライズとなった。外国為替市場ではドル高・円安の動きが加速し、5日の東京市場で1ドル=120円40銭近辺まで円が下落した。株式市場では日経平均株価が週間ベースで460円60銭(2.64%)上昇した。

 そして週末5日発表の米11月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比32.1万人増加となり、市場予想の23万人増加を大幅に上回った。9月は25.6万人から27.1万人、10月は21.4万人から24.3万人に、それぞれ上方修正された。増加数が20万人を超えるのは10ヶ月連続で94年以来最長だった。また11月の失業率は10月と同じ5.8%だった。11月の時間当たり賃金は24.66ドルとなり前月比0.4%上昇した。年末商戦に向けた一時的な動きとの見方もあるが、米景気の堅調さを確認し、米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期が15年前半に早まる可能性が意識される内容だった。

 この結果を受けて外国為替市場ではドル買い・円売りの動きが加速し、1ドル=121円69銭までドル高・円安が進行する場面があった。ユーロ・円も1ユーロ=149円30銭近辺まで円が下落した。また株式市場ではダウ工業株30種平均株価が1万7991ドル19セントまで上昇して1万8000ドル台に迫る場面があった。

 そして日経平均先物は大証ナイトセッションで1万8100円台まで上昇する場面があり、CME225先物(円建て)清算値は1万8045円だった。週初8日朝に発表される7~9月期実質GDP2次速報値が、1次速報値の年率マイナス1.6%から上方修正される見通しであり、8日の日経平均株価は1万8000円台に乗せてのスタートとなりそうだ。さらに一旦は07年2月の戻り高値1万8300円39銭も視野に入るだろう。

 ただし日経平均株価(終値ベース)は10月17日の直近安値1万4532円51銭から12月5日の1万7920円45銭まで、途中11月17日の7~9月期実質GDPマイナス成長を嫌気した前日比517円03銭安を挟んで3387円94銭(23.32%)上昇している。一旦は利益確定売りが優勢になっても不思議のない水準だ。

 そして週末12日の先物・オプションのメジャーSQと14日の衆院選投開票が控えている。週後半には日経平均株価1万8000円台乗せで、一旦は目標達成感を警戒する動きもありそうだ。日銀のETF買いや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用構成見直しに伴う株式買いが下値を支えるだけに、仕掛け的な先物売りは難しいとの見方が優勢だが、波乱に対する警戒も怠れない。

 外国為替市場でも急ピッチのドル高・円安に対する警戒が必要だが、日米金融政策の方向性の違いをベースとする流れに変化はなく、目先的にも米FRBの利上げ時期前倒し観測でドル買い・円売りの動きを強める可能性があるだろう。1ドル=120円~123円のレンジを想定する。

 株式市場では引き続き、円安メリットの自動車、電機・精密、機械関連、原油価格下落メリットの陸海空運・電力・ガス関連などが物色の中心だろう。円安に伴う訪日外国人旅行客関連、消費増税先送りに伴う個人消費関連、株高に伴う資産効果関連なども物色されそうだ。ただし急ピッチで上昇したため一旦は利益確定売りが優勢になる銘柄もありそうだ。出遅れ感の強いセクターに物色が広がるかも焦点となる。なお11日からIPOラッシュとなるだけに、初値後の資金の回転も速くなりそうだ。IPOラッシュに備えた換金売りが一巡し、ジャスダック市場やマザーズ市場にあらためて資金が流入するかも焦点となる。

 その他の注目スケジュールとしては8日の日本10月国際収支、日本11月景気ウォッチャー調査、中国11月貿易収支、9日の日本11月マネーストック、10日の日本11月企業物価指数、日本11月消費動向調査、日本10~12月期法人企業景気予測調査、中国11月PPI・CPI、米11月財政収支、11日の日本10月機械受注、日本10月第3次産業活動指数、日本11月都心オフィス空室率、ECB(欧州中央銀行)TLTRO(新型長期供給オペ)第2弾実施、米11月小売売上高、米11月輸入物価、米連邦予算継続決議案の期限、12日の中国11月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。

 その後は17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、18日~19日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。(アナリスト)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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