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筑波大、ステロイド生合成器官でコレステロール調整をする遺伝子「ノッペラボー」を発見
昆虫の発生の進行とエグジステロイドの関係を示す図。体液中を循環するエグジステロイドが適切な上昇と下降を繰り返すことで、昆虫の発生過程における孵化、脱皮、変態、羽化という「区切り」が誘導される(筑波大学の発表資料より)[写真拡大]
筑波大学の丹羽隆介准教授・塩谷天大学院生らによる研究グループは、ステロイドホルモン生合成器官における細胞内コレステロールの挙動に調整に必須の役割を担う遺伝子「ノッペラボー」を発見した。
ステロイドホルモンは、生物の発育・性成熟・恒常性の維持に重要な役割を持つ物質で、生体中のコレステロールを出発材料にして生合成されると考えられている。しかし、コレステロールが実際にどのようにしてステロイドホルモン生合成器官に取り込まれ、細胞内でどのように輸送されているのかは明らかになっていなかった。
今回の研究では、キイロショウジョウバエを用いた実験で、エクジステロイド生合成に関わる新しい遺伝子「ノッペラボー」を発見し、ノッペラボー遺伝子を失ったショウジョウバエは胚発生・脱皮・変態の過程が阻害されることが分かった。またノッペラボーはエクジステロイド産生器官で酵素活性を介してコレステロール輸送を調節し、ステロイドホルモン生合成酵素群へ適切に運搬していることが示唆された。
このため、ノッペラボーの酵素活性に影響を及ぼすような薬剤を開発できれば、ステロイドホルモン生合成器官でのコレステロール取り込みや輸送に影響を及ぼすことが期待される。今後は、本研究成果が、昆虫の発育を制御する新たな農薬開発に繋がると期待される。
なお、この内容は10月10日に「Scientific Reports」に掲載された。
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