東大、黄色超巨星の超新星爆発に関する理論の証拠となる天体を発見

2014年9月13日 11:43

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M51 銀河の、超新星 SN 2011dh 出現前(左図)と出現後(右図)の観測写真。左図は2009年、右図は2011年7月8日に撮影(Credit: チャボット宇宙科学センター コンラッド・ジャン)

M51 銀河の、超新星 SN 2011dh 出現前(左図)と出現後(右図)の観測写真。左図は2009年、右図は2011年7月8日に撮影(Credit: チャボット宇宙科学センター コンラッド・ジャン)[写真拡大]

  • 爆発の経過を経年に並べた図。上が想像図で、下はハッブル宇宙望遠鏡が捉えた画像。(1)近接連星系を成し、明るく輝いている黄色超巨星。(2)黄色超巨星が超新星爆発を起こした図(観測画像は爆発後その明るさが徐々に失われていく段階)。(3)超新星が消えた跡に存在していた明るい青い星。観測画像では比較のために星Aを示している。(Credit: Top image: Kavli IPMU Bottom image: NASA/Kavli IPMU/Gastón Folatelli)

 東京大学のガストン・フォラテリ特任研究員らによる研究グループは、明るい青色の星と対を成す黄色超巨星が超新星爆発を起こすという理論の強力な証拠となる天体を発見した。

 星の中には一生を終える時に自分自身の質量を支えられなくなり急激につぶれて、重力崩壊型超新星爆発と呼ばれる大爆発を起こすものがある。このような爆発を起こすのは、赤色超巨星か青色のウォルフ・ライエ星に進化した恒星だと考えられていた。しかし、2011年に発見された超新星SN2011dhの位置を爆発前に撮影していた画像には赤色超巨星でも青色のウォルフ・ライエ星でもなく、黄色超巨星が写っていた。

 これについて、東京大学カブリIPMUのメリーナ・バーステン特任研究員らの先行研究によって、単独星の場合は、黄色超巨星となって超新星爆発を起こすことはないが、別の星と対をなして連星系を構成している場合、外層を相手の星(伴星)にはぎ取られ、黄色超巨星となったところで爆発することがあることを理論的に示していた。

 今回の研究では、ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラを用いて観測をおこなったところ、超新星の出現していた場所に明るい青い星を観測することができた。また、青い星の表面温度は高く、青色から紫外線の波長領域で強く輝いていることがわかり、バーステン特任研究員らの予測した黄色超巨星の伴星の特徴と一致した。

 このことから、バーステン特任研究員らの提唱した連星モデルの通り、青色の星と対を成す黄色超巨星が超新星爆発を起こしていたことが示唆された。

 バーステン特任研究員は「超新星の進化について立てた予測が、観測事実として1つ1つ確認されていくのを目の当たりにできるなんて夢のようです。様子が変化するのに時間がかかる天文学では、非常に稀なことです。この超新星がとげた進化の過程を満足いく形で説明できたと思っています」とコメントしている。

 今後はこの星をさらに研究することで、宇宙における連星系の進化を解明することに繋がると期待されている。

 なお、この内容は「Astrophysical Journal Letters」に掲載される。

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